普通、過去になにがしかの躁のエピソードを持たないうつ状態は双極性障害とは診断されない。それは診断基準にもそう書かれている。 従って、うつ状態の人が精神科病院ないし心療内科クリニックに初診し、生来、未だ躁状態がみられていないのであれば、双極性障害と診断する根拠がない。 しかしながら、うつ状態のqualityを仔細に診ることにより、この人は躁状態はみられないものの、「双極性障害っぽいうつ状態」という臨床感覚を得ることはある。これは過去ログの「眠り姫」などの記載の中で紹介している。 現代社会で難しい点は、その臨床感覚の中に「広汎性発達障害的な要素」を考慮しなければならないことだと思われる。過去ログでは、双極性障害は過剰診断であるといった記載もしている。 うつ状態の人における双極性障害的と思われる所見(思いつくまま挙げてみる) ①うつ状態のエピソードが比較的短く、自然に回復した経過が観察される。そ