'59年に『世界初の教育チャンネル』として産声(うぶごえ)をあげ、今年で60周年を迎えるNHK『Eテレ』が公共放送にも関わらず、個性あふれる企画を連発し続けている──。子どもだけでなく、思わず大人も思わず食い入ってしまうような“尖(とが)った”番組作りがなぜできるのか。そんな疑問に『世界の果てまでイッテQ!』など人気番組を多数担当する放送作家・鮫肌文殊が答える。 * * * 「その企画って既視感がありますよね」 NHKのプロデューサーの方と企画会議をしていると頻発するのがこの『既視感』というキーワード。もっと平たく言えば「それって民放でよく見る番組ですよね」ってことでしょうか。 Eテレに限らずNHKの人たちの矜持(きょうじ)としてこの「民放でやっているようなありがちな企画はやらない(やりたくない)」という大前提が確かに存在すると私は思います。 そして、この『既視感』を嫌うNHKイズムが特に