沖縄県は日本復帰して間もない1976年から、幹部会議の記録廃棄を続けてきた。基地問題や新型コロナウイルス対策でも記録の不備が相次ぐ。知る権利の保障のため、公文書の作成から利用まで一貫管理する条例を有識者らは県に求めた。なぜ行政は記録を残す必要があるのか。まずは2020年、熊本豪雨のケースから考える。(政経部・下地由実子) メモ用紙に手書きした青と赤の文字が、雨が激しくなるにつれ乱れていく。 〈4時 やばい〉 〈~4時50分 雨の降り方が異常〉 〈防災操作(緊急放流)の手続き FAX通知↓河川課 決裁〉 〈6時30分 2時間後、8時30分開始〉 続く言葉は、四角で囲い、大きな波線を引き、目いっぱいに強調する。 〈早めの避難行動へ!〉 20年7月、熊本県に初めて大雨特別警報が出た熊本豪雨。県内最大の球磨川が氾濫し、65人が犠牲になる戦後最大級の水害となった。メモは、球磨川上流の県営市房ダム(水