* あえてひと手間減らすプロのセンスと勇気 「第一回 めざせ専業主夫 『決定版 ケンタロウ絶品!おかず』の巻」の中に、料理研究家ケンタロウの本が、ユーザのプロセスに意識的であることを評価している所がある。 ケンタロウの本は、そのへんの機微をとてもよく心得ていて、こちらの気持ちが萎えてしまう前に料理が完成するように、手順はスリム化されている。もちろんケンタロウはプロだから、ここでもう一手間かければ味が良くなる、ここでちょっと時間を置けば味が染みる、というポイントはきっとたくさんあるんだろう。しかしプロセスを増やすことによって、(読者のなかから)実際に作ってみるひとの数がぐぐっと減ってしまうということも、また分かっているのだ。エライ。 ここで重要なことは、まず、料理研究家と料理本のユーザの目的意識のズレに敏感であること。 料理の手間とおいしさとのトレードオフにおいて、料理研究家は過剰においしさ