電気ショック療法は、頭部(両前頭葉上の皮膚に電極をあてる)に通電することで人為的にけいれん発作を誘発する治療法である。元々統合失調症に対する特殊療法として考案されたもので、精神科領域における特殊療法中、最も一般化した治療法である。 研究チームはすでにECTによる治療を受けている重度のうつ病患者42人に2枚のスライドを見せた。1枚は自動車事故、もう1枚は暴行の写真だ。 しばらくしてから、患者にスライドの1枚を思い出してもらった。そして、脳の「再書き込み」過程が始まった瞬間に電気ショックを与えた。1日後、患者たちに、電気ショックを受けながら思い出していた1枚のスライドに関する質問をしたところ、答えられなかったという。しかし、そうでなかった方のスライドについては明確に思い出すことができたそうだ。 クロース氏が、脳の刺激により記憶を封じることができるという考えは、”記憶の固定化” という理論に基づ