評価の定まっていない現代の写真、写真家、写真集について 最新の情報を提供していくインターネットマガジン 沈昭良氏はドキュメンタリー・フォトグラファーとして台湾を代表する写真家の一人である。彼が今まで上梓してきた写真集のほとんどは長い年月に耐え得るであろう非常に高いクオリティを維持している。高度な撮影技術を基礎とした写真群、高い編集能力、妥協無き印刷と装丁、そして制作に費やされた膨大な時間と忍耐力がこれら1冊1冊の写真集に凝縮されているからだ。沈氏は今では台湾を代表する写真家でありながら、おそらく彼に追随する若い写真家が今後世に出てくることはないとも言われている。その理由は定かではないが、現在世界的にも写真がアートの一部に組み込まれたことで、台湾国内の若手と呼ばれる写真家たちがいわゆるコンセプチュアルで表現主義的な写真へと傾向を強めているのに対し、正統的なドキュメンタリー・フォトの側面からア