ちょっと前の話になるけれど、KAATでの多田淳之介演出『ゴドーを待ちながら』(岡室美奈子新訳)はとても面白かった。この休憩なし2時間ちょっとの『ゴドー』、買いそびれていたらこの日の夜の回を譲っていただいたので、せっかくなら2ヴァージョン観たいと思い急遽昼に当日券でトライ。これは両方観られてよかった。どちらもそのキャストでなくては出ない解釈がにじみ出ていてよい舞台だった。 【令和ver. 】 会場に入ると、中央の円形の台を取り囲むように客席、そして散乱するゴミや衣類、ホームレスのテント。奥にはさびれた自動販売機も見える。一応、電柱に近いような枯木も一本。廃墟感あふれる世界。そんなかなりすさんだ公園で、ひとりスケボーを練習するゴゴ(渡部豪太)。遅れてやってくるジジ(茂山千之丞)(茂山千之丞、狂言の要素を表現に取り込める強み!)と、いまどきの若者らしいバディ感でつかず離れず「待ち」続ける。 「来