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ブックマーク / lichtung.hatenablog.com (16)

  • 文学の哲学にはどのようなトピックがあるのか - Lichtung

    文学の哲学は、存在論、認識論、倫理学、心の哲学、そして美学から、哲学的に文学を考察する研究ジャンルである。 物語とは何か、物語は人生の何を教えてくれるのか、作者とは誰か、詩的想像力とは何か、フィクションとは何か、詩の深遠さとは何か、キャラクタになぜ惹かれるのか、文学作品はどんな存在なのか、そして、文学とは何か。 稿は、The Routledge Companion to Philosophy of Literature*1 を参照しながら、主に英米圏における文学の哲学の主要な32のトピックを紹介する。文学の哲学について関心のあるひとがさらに学びを深めるために、あるいは、美学や文学の研究者の方が研究の手がかりとするために役立てばと思う。計三万字強あるので、頭から読んでいただくのもうれしいが、気になるところからすきな順番で読んでもらえればと思う*2。 定義とジャンル 1. 文学の概念 2.

    文学の哲学にはどのようなトピックがあるのか - Lichtung
  • フェミニスト哲学についての小さなメモ帳 - Lichtung

    はじめに ラウトリッジコンパニオンの『フェミニスト哲学』*1の第二部と第三部の各章と関連する事項についてのメモを記載している。 はじめに I. 身体、精神、世界 1. セックスとジェンダーの社会的構築 2. ジェンダー反 / 質主義 3. 身体性 4. 物質性 5. 境界のアイデンティティ 6. パーソナルアイデンティティと関係的な自己たち 7. 精神分析と主体 II. 知識、言語、科学 8. 合理性と客観性 9. 信頼と証言 10. 認知的不正義、無知、トランス経験 11. 発話と消音 12. 言語と書記 13. 科学哲学 14. 生物科学 15. 社会科学 I. 身体、精神、世界 1. セックスとジェンダーの社会的構築 Haslanger, S. (2017). The sex/gender distinction and the social construction of rea

    フェミニスト哲学についての小さなメモ帳 - Lichtung
  • 「キャラクタの画像の何がわるいのか」と応用美学の試み - Lichtung

    はじめに こんにちは。神戸大学人文学研究科修士課程在籍の難波優輝です。1月25日に大女子大学にて開催された「描写の哲学研究会」(松永伸司さん主催)にて発表した「これは人間ではない––––キャラクタの画像の何がわるいのか」のかんたんな解説と資料の公開をします*1。加えて、じぶんが現在構想している「応用美学」のスケッチを共有します。分析美学、描写の哲学、ジェンダー表象、そして、哲学と実践に関心のある方はお読みいただければさいわいです。 はじめに 「これは人間ではない––––キャラクタの画像の何がわるいのか」 資料 引用例 解説 応用美学の構想 注 「これは人間ではない––––キャラクタの画像の何がわるいのか」 以下、資料のリンクとかんたんな解説を記載します。 資料 ・スライド: ・配布まとめ資料: 引用例 難波優輝. 2020. 「これは人間ではない––––キャラクタの画像の何がわるいのか」

    「キャラクタの画像の何がわるいのか」と応用美学の試み - Lichtung
  • いくつもの身体のあいだで––––バーチャルYouTuber、おしゃれ、ペルソナ(海賊版) - Lichtung

    はじめに こんにちは。神戸大学大学院人文学研究科博士課程前期課程所属のナンバユウキです。分析美学とポピュラーカルチャーを研究しています。 先日、2019年7月27日にYouTube上で行った「361°アートワークス配信「バーチャル美少女学のための10のガイドトーク 1時限目」」にて、「いくつもの身体のあいだで–––バーチャルYouTuber、おしゃれ、ペルソナ」と題しまして、バーチャルYouTuber、おしゃれ、そしてペルソナ論を横断しながら、バーチャルな身体とリアルな身体との関わりを議論しました。 記事では、その資料、さらに未公開資料を共有するとともに、ネタ元の論文のリンクを挙げます。 はじめに 資料 内容 1. バーチャルYouTuber 2. おしゃれ 3. いくつもの身体 参考文献 参照サイト、参照動画 おわりに 資料 ・発表のアーカイブはこちらです。 「361°アートワークス配

    いくつもの身体のあいだで––––バーチャルYouTuber、おしゃれ、ペルソナ(海賊版) - Lichtung
  • SEP:芸術の定義 - Lichtung

    概要 スタンフォード哲学百科事典「芸術の定義」のまとめです*1。 芸術の定義の試みをざっとさらっています。20世紀以前の伝統的な定義については触れず、1950年代からの英米圏における議論を扱っています。 キイ・ワード 芸術の定義、定義に対する懐疑主義、慣習的定義、制度的定義、歴史的定義、機能的定義 概要 キイ・ワード 1.芸術の定義の制約 2.伝統的な定義 3.定義に対する懐疑主義 1.家族的類似説の発展系 2.伝統的な哲学の言葉遣いの問題 3.芸術の定義は歴史的に不安定である 4.認知説の問題 5.芸術の定義は不必要 6.芸術の定義はイデオロギー 7.目的をもたない芸術の定義はない 3.1 いくつかの派生 4.現代的な定義 4.2 制度的定義 4.3 歴史的定義 4.4 機能的(主として美的)定義 感想 1.芸術の定義の制約 筆者によって十の取り組むべき条件があげられている。とくに次の二

    SEP:芸術の定義 - Lichtung
  • SEP: 歴史哲学 PART I - Lichtung

    はじめに 稿はSEP(スタンフォード哲学百科事典)の「歴史哲学(Philosophy of History)」の項のまとめノートである。 この記事では、歴史哲学のうちで問われる、歴史の行為者・因果論。そして、大陸系、英米圏の歴史哲学。加えて、史学史と歴史哲学との違い、歴史家からの問いが紹介される。 歴史哲学という言葉は、多くの人にヘーゲルの名前を思い起こさせるかもしれない。けれども、その著作は歴史哲学の際立った例ではあるものの、歴史哲学の歴史の中で位置付けられるべきものであって、歴史哲学の唯一の規範的な事例というわけではない。この記事では、歴史哲学のなかの、いくつかの時代と地域において議論され来たって、なおかついまもなお盛んに論争が繰り広げられている主要な問いをめぐって、さまざまな研究が紹介される。 近年、英米圏において盛んに議論されている歴史の存在論、因果論、認識論、方法論といった、史

    SEP: 歴史哲学 PART I - Lichtung
  • 「芸術の定義とファインアートの歴史的起源」 - Lichtung

    概要 近代社会のうちで芸術は質的にイデオロギー的な機能を持つ。もしこの主張が正しいのなら芸術の定義をめぐる議論は見当違いなもので、取りやめられるべきものである。とする、クロウニーによる「芸術の定義とファイン・アートの歴史的起源」のまとめノートです*1。 まとめ 近代的な芸術の体系(≒芸術の定義)は論理的に定められているのではない。それはイデオロギー(経済的、階級的、社会的な機能を持ちつつもその機能の存在を隠蔽しながら作動するもの)的であり、その機能に従って芸術/非芸術の判別を行っている。これを穏健なイデオロギー説と呼ぶ。この説に従えば、論理的な芸術の定義づけの試みが見当違いであることが判明し、加えて、芸術/非芸術の境界に関するよりより説明が可能になる(かもしれない)。 キイ・ワード イデオロギー、芸術の定義、ファイン・アート 概要 まとめ キイ・ワード I. イントロダクション II.

    「芸術の定義とファインアートの歴史的起源」 - Lichtung
  • "The Modern System of the Arts" Part I P. O. Kristeller - Lichtung

    はじめに 稿は、クリステラーの著名な論文「近代的諸芸術のシステム:美学史研究」Kristeller, Paul Oskar. "The modern system of the arts: A study in the history of aesthetics part I." Journal of the History of Ideas (1951): 496-527. の読書ノートである。 この論文は「「五つの主要なアート(絵画、彫刻、建築、音楽、詩)(the five major arts)を構成要素とする〈アート〉(Art)」という概念は18世紀以前には存在していなかった」ことを歴史的に示す。 わたしたちがよく耳にし、当たり前の概念として受け入れ、用いるアートという概念が、どのような背景の下で現れたのかということをクリステラーは問う。 クリステラーのこの主張は発表後広く受け入

    "The Modern System of the Arts" Part I P. O. Kristeller - Lichtung
  • Aaron Meskin "Videogames and Creativity" Workshop in Ritsumeikan Report - Lichtung

    概要 2017年8月9日、立命館大学にて分析美学者のメスキン教授の発表とワークショップが行われた。レポートでは、メスキンの発表の振り返りと質問と応答を記す。 Videogames and Creativity ビデオゲームと創造性 概要 Videogames and Creativity ビデオゲームと創造性 はじめに 創造性とは何か? 三つの問い 因果関係の問題 ゲームプレイの問題 Problem-solvingとしての創造性 Q&A あとがき はじめに ビデオゲームプレイヤーは創造性(creativety)を発揮していないとされる。しかしこれは当だろうか? この発表では、創造性についての定義を概観し、つぎに、ビデオゲームと創造性に関する三つの問いを確認し、ビデオゲームが問題解決(problem-solving)の要素を含むがゆえに創造的であることを示す。 創造性とは何か? まず、創

    Aaron Meskin "Videogames and Creativity" Workshop in Ritsumeikan Report - Lichtung
  • アーロン・メスキン「自己-関与的なインタラクティブフィクションとしてのビデオゲーム」 - Lichtung

    書誌情報 Robson, Jon, and Aaron Meskin. "Video Games as Self‐Involving Interactive Fictions." The Journal of Aesthetics and Art Criticism 74.2 (2016): 165-177. 章立て 1.イントロダクション 2.ビデオゲームとフィクション 2.A.ビデオゲームフィクション 2.B .ビデオゲームフィクションに関する既存の説明 2.C.インタラクティビティ 3.自己-関与的なインタラクティブフィクション 3.A.SIIFを理解する 3.B.アバター 3.C.SIIFを動機づける 4.ウォルトン主義からの反論 4.A.ウォルトンによるフィクション的自己-関与 4.B.ウォルトン主義の手続き 4.C.作品世界への参加 4.D.作品世界に関する懸念 5.SIIFの

    アーロン・メスキン「自己-関与的なインタラクティブフィクションとしてのビデオゲーム」 - Lichtung
  • アーロン・メスキン「コミックを定義する?」 - Lichtung

    書誌情報 Meskin, Aaron. "Defining comics?." The Journal of Aesthetics and Art Criticism 65.4 (2007): 369-379. Defining Comics? - MESKIN - 2007 - The Journal of Aesthetics and Art Criticism - Wiley Online Library 章立て 1. イントロダクション 2. コミックを定義する近年の試みに関する簡単な歴史 3. ハイマン-プラットによるコミックの定義 4. コミックとナラティヴ 5. コミックと子供の絵 6. コミックと歴史 7. いくつかのさらなる懸念 8. コミックと定義 9. 結論 どんな論文? 分析美学者メスキン(Aaron Meskin)のコミックの定義に関する論文。コミックの四つの定

    アーロン・メスキン「コミックを定義する?」 - Lichtung
  • 芸術と倫理、倫理的批評 - Lichtung

    芸術の倫理と倫理的批評に関するサーベイ論文を読んだのでまとめました。「倫理的批評って可能なの?」「芸術作品と倫理はどう関わるの?」といった疑問を抱いている方はご一読ください。 ・Giovannelli, Alessandro. "The ethical criticism of art: A new mapping of the territory." Philosophia 35.2 (2007): 117-127. 倫理的批評とはなにか 三つの原則 新しい分類法 ヴァリエーション 「地獄変」のケース マッピングの利点 注 倫理的批評とはなにか 芸術は倫理的に批評しうるか、という問いは、20世紀の後半にはいってふたたび分析美学のまじめな問いとして見直されることとなった。それに伴い、分析美学において芸術とその倫理的批評に関するさまざまな立場が現れた。この論文では、そうした立場を実践に沿うよ

    芸術と倫理、倫理的批評 - Lichtung
  • ラテン語 ギリシア語 スタディガイド - Lichtung

    はじめに ヨーロッパの思想、文学、芸術、歴史にアクセスする際、ラテン語と古典ギリシア語の知識が必要となる場面は多い。現在は独習に適した書物も多くあり、誰でもこれらの言語を学ぶことができる。 とはいえ、直接西洋古典語を学習している知り合いがいない場合、どの書が優れているのかは明らかではない。 そこで、ノートでは、初学者に向けた学習書のかんたんな読書案内をしたい。 ラテン語や古典ギリシア語に触れたいと思うひと、それから腰を入れて学ぼうと思うひと、さまざまなひとに何らかの益があればと思う。 参考になるよう、筆者の経験に加え、周囲の研究者や指導者の勧めに基づいて選書している。 以下では、1.概観 2.文法学習 3.原書購読の3つに分けて情報を記載する。 はじめに ラテン語 1.概観 2.文法学習 変化表 3.原書購読 古典ギリシア語 2.文法学習 3.原書購読 辞書 ラテン語 1.概観 はじめて

    ラテン語 ギリシア語 スタディガイド - Lichtung
  • ノエル・キャロル『批評について』 - Lichtung

    『批評について』について アメリカはニューヨーク市立大学に勤めている著名な美学者ノエル・キャロルの著作『批評について』(邦訳:2017年 原著:2009年)は次のひとつの問いを問うています:「批評とは何か、そしてそれはどのようなものであるべきか」。 批評とは何かを問う彼の意図は、同時代の批評家が作品への価値づけから撤退していることに異を唱え、価値づけに関わっていく批評の、そして批評家のありうべきあり方を説得的に示すことにあります。過剰なレトリックに頼ることなく、印象批判に陥らないよう注意しながら、前提にもとづいて主張し、予想される反論に対して応答し、さらに再反論とぶつかり合うことによって議論が進められ「批評とは、理由にもとづいた価値づけである」との主張が展開されます*1。 四つの主張 キャロルは、批評について、四章にわたって、おおきく四つの主張を行なっています。 一つ目は、批評とは理由にも

    ノエル・キャロル『批評について』 - Lichtung
  • 音楽の哲学にはどのようなトピックがあるのか - Lichtung

    はじめに じぶんが分析美学の研究をはじめるにあたって、芸術の哲学、分析美学の研究者の森功次さんの記事「分析美学にはどのようなトピックがあるのか」*1におおいに助けられました(森 2015)。そこで、稿では、音楽の哲学、音楽美学をはじめようと考えている方のヒントになればと思い、どのような問いが問われているのかをまとめました。 項目は、英語圏の分析美学の教科書のひとつであるThe Routledge Companion to Philosophy of Music*2の第一部を参照しています。 解説は、何が問われているのか、それを問うと何がうれしいのかを中心に、可能であれば、関連する文献を紹介しています。 それでは、ここからさらに、音楽の哲学を加速させましょう。ちなみに、二万字弱あります。個々のトピックと説明は独立しているので、一気に読まず、お好きなときにつまみ読みしてくだされば。 はじめに

    音楽の哲学にはどのようなトピックがあるのか - Lichtung
  • 論文制作の方法 - Lichtung

    はじめに:論文制作の方法を問うて何がうれしいのか 論文はいかに作られているのか、論文はどう作るべきなのか、どのような構成要素から論文の制作は成り立っているか。こうした論文の制作に関する問いを仮に「論文制作」に関する問いと呼ぼう。論文制作に関する議論は、いくつかの著書でもなされている*1。これらは、理論と概念の扱い、問いの立て方、資料調査法など、論文制作の上で注意すべき諸々の構成要素に注意を促し、効果的な手法を提示する優れた著作であり、その有用性に疑いはない。 だが、どのようなツールをどのように使うか、どのような作業を繰り返しているのかといった、より日常的で具体的な論文制作の方法の共有は、ゼミや授業の現場ではなされているかもしれないが、著作や論文の形では、これまでそれほどなされてきたとは言えないと考える。しかし、こうした具体的な情報を一般に共有することは、各研究者の研究方法の自己反省の手がか

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