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ブックマーク / sakstyle.hatenadiary.jp (47)

  • 大正史メモ? - logical cypher scape2

    何故か大正史に関わるを連続で読んだ。何故か、というか主にちくま新書が近いタイミングで何冊か出してきたから、というのが主な理由だけど。 数年前から、戦前昭和史に興味を持ち始めていたのでそれに連結する形で大正にまで興味関心が伸びた。まだ、明治までは伸びていない。 大正は、大衆が成立した時代で、一方でポピュリズムや大衆文化があり、現代と地続きの似たところがある。他方で、政治的には二大政党制が曲がりなりにも成り立っていたり、社会的・文化的には様々な(政治にも関わる)運動があったり、現代とは異なる様相も見せるので面白い。 最近読んだ大正史関連の・雑誌 筒井清忠編『大正史講義』 - logical cypher scape2 筒井清忠編『大正史講義』【文化篇】 - logical cypher scape2 山口輝臣・福家崇洋編『思想史講義【大正篇】』 - logical cypher scape

    大正史メモ? - logical cypher scape2
  • 「カラーフィールド色の海を泳ぐ」展 - logical cypher scape2

    ジュールズ・オリツキー天才かよ! この展示会のキュレーターも天才! 川村記念美術館で「カラーフィールド色の海を泳ぐ」展を見てきた。 川村記念美術館自体は、2009年のロスコ展を見て以来の再訪となった。また行きたいなとは常々思っていたのだが、何ぶん遠いので……*1。 さて、カラーフィールドだが、戦後アメリカで起きた抽象表現主義から派生した流れだと、とりあえず言うことはできる。まず、抽象表現主義と大きく括られる画家たちの中で、ジャクソン・ポロックなどはアクション・ペインティング、マーク・ロスコなどはカラーフィールド・ペインティングと分類されることが多い。 そう、自分は川村記念美術館には毎回(2回だけだが)、カラーフィールド・ペインティングの画家を見に行っていることになる。 ただし、正確に言うとこの言い方は正しくない。 今回の「カラーフィールド」展は、正確に言うとカラーフィールド・ペインティング

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  • 『ユリイカ2022年6月号(特集=ゲルハルト・リヒター)』 - logical cypher scape2

    ユリイカ2022年6月号 特集=ゲルハルト・リヒター 作者:ゲルハルト・リヒター,清水 穣,平倉 圭,大山 顕青土社Amazon清水、沢山、平倉、池田、大山の各論考が面白かった 音楽を聴くと、イメージが浮かぶ / ゲルハルト・リヒター×マルコ・ブラウ 訳=西野路代 リヒターへのインタビュー ビルケナウの鏡――ゲルハルト・リヒターの《ビルケナウ》インスタレーション / 清水穣 サブタイトルにある通り、ビルケナウ論 ここでは、リヒターのいう「シャイン」をレイヤーの出現として説明する ビルケナウのインスタレーションにおける、コピーないし鏡をレイヤーの出現と捉える シャインは、グリーンバーグがいうところの平面性だが、そこに歴史性を帯びるのがリヒターの特殊なところだと論じる 写真に似たもの――ゲルハルト・リヒターの〈記憶絵画〉と女性イメージ / 香川檀 リヒターにおいて、女性が、死にかかわるモチーフ

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  • Glenn Persons "The Aesthetic Value of Animals" - logical cypher scape2

    動物の美学について論じた論文 動物を美的に鑑賞するのは不道徳なのかという問題に対して、機能美を鑑賞するのであれば不道徳ではないと論じる。 以前、青田麻未「動物の美的価値 : 擬人化と人間中心主義の関係から」を読んだ時に、主に紹介されていたもの 内容的にはおおよそ上の青田論文を読んでもわかる 要約 動物を美的に鑑賞することは、美学では無視されてきている。 まず、なんで美学で動物があまり扱われてこないかについて、筆者の推測が挙げられる 動物は芸術作品と比べて複雑な存在だからではないか→自然環境の美学は盛んなのに、動物が扱われていない理由にならない 動物を鑑賞することは非美的だからではないか→非美的なところは確かにあるけど、だからといって全く美的ではないということにはならない 動物を美的に鑑賞するのは不道徳だからではないか 道徳的な存在を、主体subjectではなく客体objectとして扱うのは

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  • D.Lopes "The 'Air' of Pictures" - logical cypher scape2

    絵画の表現について 分析美学では、表現というのは、作品が何らかの感情を表現していることを指し、特に音楽における表現が論じられている。 絵画については触れられることが少ない この論文は、ロペスの絵画(画像)論についてのの第2章である。 「この曲は、悲しげな旋律をしている」「この絵は憂いを帯びている」などと言われることがある。一方、悲しみや憂いなど感情は、人間が持つものであって、人工物が持つものではない(ピアノや絵の具は悲しんだり憂いたりしない)。*1 曲や絵画など芸術作品もやはり人工物の一種なので感情を持つことはない。 だとしたら、曲が悲しげだったり、絵が憂いを帯びていたりするというのは一体どういうことか。 これが、分析美学において扱われている表現の問題である。 論もこれに応答すべく、色々な説が検討されていき、最後に、輪郭説という立場が擁護される。 なお、この記事は途中で力尽きました。

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  • Derek D. Turner "Paleoaesthetics and the Practice of Paleontology(美的古生物学と古生物学の実践)" - logical cypher scape2

    古生物学の科学哲学ので、その美的側面を強調している。 タイトルのPaleoaestheticsは、直訳するなら「古美学」になるだろうが、ここでPaleo-としているのは古生物学Paleontologyとかけているからであり、また、古生物学の美学、というよりは、古生物学の美的な側面を指す際に用いられているので、ここでは「美的古生物学」と訳してみた。 書では、Paleoepistemologyという語も出てくるのだが、これも、古生物学の認識論という意味ではなく、古生物学の認識論的側面という意味で使われている。 科学というのは認識論的epistemicなもの(新しい知識を得るためのもの)と考えられがちだが、それ以外の面、つまり美的な面も持ち合わせているのだという。 さらに、単に美的な面もあるよねというだけでなく、認識論的な面と美的な面は相互依存の関係にあり、区別できないほど混ざり合っていると

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  • マンガにおける「分離された虚構世界」と「視覚的修辞」 - logical cypher scape2

    まえがき 分離された虚構的世界と視覚的修辞 - logical cypher scape2 の続き、というか、最後に触れたイノサンの例についてもう少し膨らませて書く。 マンガは、絵を使って、とあるフィクション世界を描く形式である。 なので、絵の内容は、その世界の出来事をあらわしている、と考えられるわけだが、実際には、絵の内容がそのままその世界の出来事として成り立っているわけではなさそうなケースもよく見られる。 そういうケースを説明するのに、いくつか概念を作ってみよう、みたいな話をするつもり。 以下、『イノサンRouge』を例に出していくが、あくまで例として使っているだけであり、『イノサンRouge』論にはなっていないのであしからず。 (こういう概念を作るのであれば、何某か作品の解釈に有用なものにしたい、という思いがあるのだが、今回その点についてはうまくできてないというか、作品の解釈には使え

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  • 分離された虚構的世界と視覚的修辞 - logical cypher scape2

    『フィクションは重なり合う』のAmazonページに、実はレビューが書かれているのを最近知って、ちょっとそれに対する応答をしつつ、ちょっと気になっていることをメモしておきたい。 2.2.分離された虚構世界の > 例えば、TVアニメ『四月は君の嘘』の22話(最終回)「春風」における演奏会演奏会のシーンを取り上げてみよう。主人公の有馬公生が演奏会でピアノを演奏しているのだが、シーンの途中から公生とピアノがステージ ではなく、水面上に置かれている映像へと変わる。ホールの様子は消えて、水平線の広がる水面上で公生が演奏している映像である。 この映像について、著者はこれをフィクションの世界の中で起きていることだと主張しています。 『フィクションは重なり合う』カスタマーレビュー「大事なところを「明らかだ」で済まされてしまった」 この点について、2つの応答の仕方がある。 『四月は君の嘘』の映像において、「水

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  • 発表内行為? - logical cypher scape2

    追記(20190806) twitterで色々書いたので追記 長い上に、色々紆余曲折するので、結論としては最後に引用しているakadaさんの見てください この記事だけだとうまく伝わっていないだろうけど、自分が何にそんなに引っかかっているのか改めて気付いたこととして、少なくとも自分は、発語内行為をかなり言語的なものに特有の現象だと思っていて、非言語的なものにさらっと援用・拡張できるのかと思っているのかもしれない— シノハラユウキ (@sakstyle) August 5, 2019 しかし、ここはまあなんか難しいな。 発語内行為とされるものの中にも色々ありそう。 「主張する」とかは非言語的にもやれそう。 ただ、発語内行為の典型例と思われる「約束」とか「命名」とか「宣言」とかが言語的な現象にしかみえない— シノハラユウキ (@sakstyle) August 5, 2019 自分の理解だと、発

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  • 林洋子編『近現代の芸術史 造形編1 欧米のモダニズムとその後の運動』 - logical cypher scape2

    タイトル通り美術史ので、ちょうど20世紀を丸々扱っている。 京都造形芸術大学の教科書として作成されただが、森さんが授業のシラバスでお薦めの図書として挙げていたので、気になって読んでみた。 美術の世界(大女子大学シラバス) まさに教科書的なだが、比較的若い書き手によって書かれているように思う。 20世紀全体を200ページ足らずに収めているので、一つ一つの項目の分量自体は少なめではあるが、連続した読み物になっているので、読みやすく分かりやすい ところで、編者の人、筒井康忠編『昭和史講義【戦前文化人篇】』 - logical cypher scape2で藤田嗣治の項を書いてた人だ。 第1章 「表現」への衝動―フォーヴィスム、表現主義、プリミティヴィスム 林卓行 第2章 空間と時間の拡張―キュビスムと未来派 林卓行 第3章 質をめざして―抽象絵画の始まり 林卓行 第4章 反逆の芸術―ダダ

    林洋子編『近現代の芸術史 造形編1 欧米のモダニズムとその後の運動』 - logical cypher scape2
  • 弥永真生・宍戸常寿編『ロボット・AIと法』 - logical cypher scape2

    ロボット・AIに関連する法学諸分野の論点を解説している 編者によれば、ロボット・AIを糸口にした法学入門としても読むことができることが企図されており、実際、法律門外漢の自分にとっては、そのように読むことができた。 法律の専門家たちによって書かれているなので当然だが、完全に法律のである。 法というのが、どういう観点から考えられているのかがわかる。基的に、読みやすい。 法学独特の言い回しが、門外漢からは新鮮に感じられて面白かった。 論点としては、第6章の契約をめぐる話とか、第10章の刑事司法についての話が面白かった ロボット・AIと法 作者: 弥永真生,宍戸常寿出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2018/04/09メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る 第1章 ロボット・AIと法をめぐる動き(宍戸常寿) ? はじめに ロボット・AI ブーム/ロボッ

    弥永真生・宍戸常寿編『ロボット・AIと法』 - logical cypher scape2
  • ローレンス・レッシグ『CODE』 - logical cypher scape2

    『CODE』というと、人の振る舞いを規定する4つ――法、市場、規範、アーキテクチャを示したことで有名だけど、このにとって、そのことはわりと前提みたいなもので、主題はもうちょっと踏み込んだところにある。 それは、この4つの中でも、法とアーキテクチャが特に重要だということ。 東海岸コードと西海岸コードと呼び変えていたりもする。 何故か。 一つには、可変であるということがある。 特にサイバー空間において。物理空間のアーキテクチャは、あんまり変わらないけれど、サイバー空間のアーキテクチャは簡単に書き換えてしまうことができる。 ネットは匿名で自由な空間だ、と言われている(た)けど、それは偶々そういうアーキテクチャだっただけで、コードを書き換えてしまえば、そうではないネットもありうる。 もう一つ。これは、特に法に関すること。 他の3つに対しての影響力がある。法は、直接人の振る舞いを規制することもある

    ローレンス・レッシグ『CODE』 - logical cypher scape2
  • エリック・R・カンデル『なぜ脳はアートがわかるのか―現代美術史から学ぶ脳科学入門』 - logical cypher scape2

    神経科学の大家であるカンデルが、主に抽象絵画を対象に、芸術と神経科学を結びつけて論じている。 なお、カンデルは、美術と神経科学について他にも著作がある。もともと、記憶や学習について研究しており、それでノーベル賞も受賞しているが、芸術との関係についても興味・関心があるようだ。 はじめに I ニューヨーク派で二つの文化が出会う 第1章 ニューヨーク派の誕生 II 脳科学への還元主義的アプローチの適用 第2章 アートの知覚に対する科学的アプローチ 第3章 鑑賞者のシェアの生物学(アートにおける視覚とボトムアップ処理) 第4章 学習と記憶の生物学(アートにおけるトップダウン処理) III アートへの還元主義的アプローチの適用 第5章 抽象芸術の誕生と還元主義 第6章 モンドリアンと具象イメージの大胆な還元 第7章 ニューヨーク派の画家たち 第8章 脳はいかにして抽象イメージを処理し知覚するのか

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  • セオドア・グレイシック(源河亨・木下頌子訳)『音楽の哲学入門』 - logical cypher scape2

    タイトルにある通り、音楽の哲学についての入門。ラウトレッジ社のThe Thinking in Actionシリーズの一冊で、原著タイトルはOn Musicであり、同シリーズには、ジジェク『信じるということ』、ドレイファス『インターネットについて』、キャロル『批評について』などがあるとのことである。 4つの章からなり、音楽と芸術、音楽とことば・知識、音楽と情動、音楽と超越性がそれぞれテーマになっている。 「音楽の哲学」の入門であるが、同時に音楽の話題を通して「哲学」に入門するともなっていて、関係する様々なトピックに触れられている。 哲学を進める上での方法としても参考になる。というのは、具体例が多く出てくる点だ。書の方針として、必ずクラシック音楽とそうではない音楽(ロックやジャズ、民族音楽など)の両方に触れるということを心掛けているらしいし、また、何らかの論点を説明する際に、音楽以外の具体

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  • 松永伸司『ビデオゲームの美学』 - logical cypher scape2

    ビデオゲームは一体いかなるナラデハ特徴を持っているのかを、記号の意味作用という観点に着目して明らかにしようとする これは名著 様々な論点が丁寧に整理され、読者が気に掛かるであろう点にはきちんと補助線が引かれ、踏み込む必要のない議論では中立的な立場にとどまり、しかし、踏み込むべきところではきっちり踏み込んでいる。そんな感じ。 というか、内容以前に装丁がいい! 画像だとこの装丁の良さが全然伝わらないので、是非実物を手にとってもらいたい この装丁だけで手元におく価値があるレベル これは博士論文が元になった著作だが、筆者があとがきで自ら述べている通り、博論刊行後に筆者が手がけた2冊の訳書、イェスパー・ユール『ハーフ・リアル』とネルソン・グッドマン『芸術の言語』とをかけあわせたようなになっている。 ユールは、ゲームをフィクションとルールの二面性があるものとして特徴付けた。ルールは現実の側に属する

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  • 科学基礎論学会ワークショップ「芸術における感情表現」 - logical cypher scape2

    ワークショップ「芸術における感情表現」 オーガナイザ:源河 亨 http://phsc.jp/dat/rsm/20181024_05.pdf 源河 亨 - 「作者の感情表出と鑑賞者への感情喚起」 http://phsc.jp/dat/rsm/20181024_06.pdf 松永 伸司 - 「例示としての表出:ネルソン・グッドマンの立場から」 http://phsc.jp/dat/rsm/20181024_07.pdf 森永 豊 - 「音楽鑑賞における感情の身体性」 http://phsc.jp/dat/rsm/20181024_08.pdf 田邉 健太郎 - 「音楽学から見た分析美学の「表出」論争」 http://phsc.jp/dat/rsm/20181024_09.pdf 内容はおおむね上にリンクをはった発表要旨のとおり 源河 亨 - 「作者の感情表出と鑑賞者への感情喚起」 表出説、喚

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  • マジック・ランタン 光と影の映像史 - logical cypher scape2

    マジック・ランタンなどの機器などの展覧会。都写美。 以下の記事を読んで気になったので、見に行った。 あと、途中でぽんと出てくるリュミエール兄弟の初期映画がめちゃくちゃ異質に見えて、並置されているメリエスのほうがかえって「マジック・ランタン」展のなかだと地続きに見える。あんな変な――そしてめっちゃかっこいい――視覚をいきなり経験させられたら、例の「機関車の到着にビビって逃げ惑う客」なる伝説がうまれるのもさもありなんだ。あの構図のとり方は映画作家として圧倒的に天才だわやっぱり。 caughtacold.hatenablog.com 展示の構成は以下のとおり 1 マジック・ランタンの誕生 誕生からファンタスマゴリアまで 影絵の時代 2 マジック・ランタンの流行 科学の眼 興行 家庭のあそび 3 日のマジック・ランタン 最初の渡来 二度目の渡来 4 スライド パノラマ・スライド 滑車式スライド、

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  • ジェレミー・ベイレンソン『VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学』 - logical cypher scape

    スタンフォード大学でVR研究している筆者が、現在、VRがどのようなことに利用されているのか、またどのような分野での開発が進められているのか、といったことを紹介している とかく様々な事例を広く紹介しているので、なるほどそんなとこに使おうしているんだとかが分かる。 自分がVRを実際に経験したことが少ないこともあって、VRのお勉強に、と思って読んだが、それにちょうどよい感じであった。 原題は “Experience on Demand: What Virtual Reality Is, How It Works, and What It Can Do” 邦題より原題(特にサブタイトル)の方が、よほどどのようなであるかを的確に表している。 うーん、まあ、日語のタイトルが、(おそらく)売りやすいと判断されたものとなり、内容と離れてしまっているということは、珍しいことではないので、あーだこーだ言

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  • 土居伸彰『21世紀のアニメーションがわかる本』 - logical cypher scape2

    21世紀のアニメーション、すなわち2000年代及び2010年代の(主に)海外アニメーションの動向を論じている この、宣伝において目を引くのは『君の名は。』『この世界の片隅に』『聲の形』なので、この3作品を主要に取り扱ったのようにも見えるのだが、実際にはそういうわけでもなくて、多くは海外アニメーション作品について論じられている。*1 書の筆者は、海外のインディペンデントなアニメーション作品の研究者であると同時に、そうした作品の配給会社の代表をつとめ、映画祭のディレクターなどもしている人物である。 となれば、同じアニメとはいえ、『君の名は。』などとは対極の世界にいるとも言えるのだが、そんな筆者が、『君の名は。』『この世界の片隅に』『聲の形』を見たときに、海外の/インディペンデント作品の潮流とも相通じるところがあるということに気付き、衝撃を受けたところから書は始まっている。 つまり、日

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  • 鈴木雅雄+中田健太郎編『マンガ視覚文化論 見る、聞く、語る』 - logical cypher scape2

    鈴木雅雄編著『マンガを「見る」という体験』 - logical cypher scapeの続編 前著が、シュールリアリスムとマンガとの比較という観点があったのに対して、こちらはよりマンガ中心である。 タイトルが示す通り、視覚文化論とのかかわりから論じられるものが多いが、それだけにとどまらず、聴覚文化論や物語論との接続がなされている。 表現論というところから始まって、マンガを読む際に、読者がどのような体験をしているのか、というところまで踏み込んでいるとも言えるかもしれない。 刺激的な議論が多くて、非常に面白かった マンガ視覚文化論: 見る、聞く、語る 作者: 鈴木雅雄,中田健太郎出版社/メーカー: 水声社発売日: 2017/03/24メディア: 単行この商品を含むブログを見る 序章 「見る」ことから「語る」ことへ(中田健太郎) 1 表現論と視覚文化論――「読む」のか「見る」のか 「表現論」

    鈴木雅雄+中田健太郎編『マンガ視覚文化論 見る、聞く、語る』 - logical cypher scape2