大阪と奈良府県境の大和川沿いの地滑り地帯「亀の瀬」に3月末、新しい「亀の瀬地すべり歴史資料室」(柏原市)が誕生した。資料室を起点にしたガイドツアーに同行し、世界最大規模の地滑り対策の一端に触れ、貴重な近代化遺産でレンガ造の旧鉄道トンネルを見学した。【熊谷仁志】 亀の瀬は、主要部が大和川の北(右岸)側(柏原市)に位置し、川の南側が奈良県王寺町、東側が同県三郷町になる。戦前の1931~32年、大規模な地滑りが発生。川の北側を走っていた鉄道は南側に迂回(うかい)するようになった。 地滑りで大和川がせき止められて奈良盆地が浸水、やがて決壊して大阪を洪水が襲う――。そんな最悪のシナリオを避けるため、国が直轄で対策工事を始めたのは62年。土を取り除き、雨水が土にしみこまない集水対策を行い、巨大な杭(くい)を最深100メートルまで170本打った。世界最大級の地滑り対策という。