写真:清水玲奈 イラスト:赤松かおり 第14回 The Cambridge University Press Bookshop ロンドンのキングスクロス駅から電車に乗り、北に向けて田園風景を揺られて行くと、50分足らずでケンブリッジに着きます。石造りの古い町並みに、13世紀以来創設されたケンブリッジ大学のさまざまなカレッジが点在する歴史都市です。 学生や観光客が集う旧市街。正面に見えているレンガ造りの建物がケンブリッジ・ユニバーシティー・プレス書店。 今回訪ねたケンブリッジ・ユニバーシティー・プレス(ケンブリッジ大学出版局)書店があるのは、ケンブリッジの旧市街の中心、有名なトリニティー・カレッジにほど近いトリニティー通り1番地です。 通りに面して大きな窓が設けられていて、入りやすい雰囲気です。 ここは、イギリスで最も古くから書店があった場所。1581年には、ウィリアム・スカーレットという書
第11回 社会を映すロマンス小説 ▼ロマンス小説とは? 今回は、ロマンス小説をテーマに……というと、関係ないなあと思われるかたも多いかもしれません。 しかし、全米での売上高は11億ドル弱(すこし古いデータですが)で、これはミステリーとSF/ファンタジイを足したぐらいの市場規模であり、すべてのフィクション・マーケットの1/3強を占めるというと、その重要性がわかっていただけるのではないでしょうか。 とはいえ、ロマンス小説というと、読者は女性ばかり、ストーリーは色恋沙汰で、どうせめでたしめでたしで終わるんでしょ、という大ざっぱな印象を持たれていたりしますね。 まず最初に押さえたいのは、たしかに読者の82%は女性ですが、男性読者が2割弱にのぼるという事実です。 全米ロマンス作家協会の見解からロマンス小説を定義すると、 1)恋愛がプロットの中心にあり、 2)ドラマ的にはハッピー・エンディング=「感情
気鋭のクリエイターを月替わりで起用し、本/読むこと/書くこと/編むことにまつわるグラフィック作品を展示する「DOTPLACE GALLERY」。 2018年11月期の担当は、イラストレーターのカナイフユキさんです。自らの表現者としての言葉を奪われてきた、モダニズム作家の「妻や愛人たち」について綴られた文章をまとめた『ヒロインズ』(C.I.P.Books)の装画も記憶に新しいですが、こちらのビビットな背景に彩られた、本を読む若者のまなざしからは、どんな想いが感じられるでしょうか。読み応えあるインタビューと併せてお楽しみ下さい。 カナイフユキさんに聞きました ——どのようなイメージまたはコンセプトで今回の作品を制作されましたか。 先日発売された『i-D Japan No.6』に掲載された松田青子さんの短編『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』に登場したウィノナ・ライダーに触発され、
某出版社にて、翻訳書編集、法務をへて翻訳権輸出に関わる冨田健太郎が、毎月気になる海外の出版事情を紹介する「斜めから見た海外出版トピックス」。 今回は8月に亡くなった文芸エージェント、マイクル・シッソンズの生涯とともに、文芸エージェントの仕事に迫ります。 第16回 文芸エージェント界のゴッドファーザー 今年(2018年)8月、英国の文芸エージェント、マイクル・シッソンズが亡くなりました。 エージェント界の「ゴッドファーザー」と呼ばれていたという人物ですが、彼について触れる前に、まずは「文芸エージェント(Literary Agent)」とはなにか、からお話ししましょう。 ▼文芸エージェントとは 本を出版する場合、日本では出版社が著者に直接アプローチするのがふつうかと思いますが、海外ではそこに文芸エージェントが介在するのが一般的です。 エージェントは、19世紀後半に英国で誕生したと言われています
某出版社にて、翻訳書編集、法務をへて翻訳権輸出に関わる冨田健太郎が、毎月気になる海外の出版事情を紹介する「斜めから見た海外出版トピックス」。 今回は8月に行われた北京国際ブックフェアのレポートをお届けします。ライツビジネスの最前線をお楽しみください。 第15回 北京国際ブックフェア 8月下旬の暑い東京を離れて、これまた暑い北京に行ってきました。 目的は「北京国際ブックフェア」です。 ▼ブックフェアとは…… ブックフェアとは、出版界の大イヴェントです。 といっても、ご存じないかたにはイメージしにくいかもしれません。 日本では、毎年、東京国際ブックフェアが開かれてきましたが、残念ながら2017年、18年と開催されず、19年も予定はないようです。 東京ではビッグサイトが会場でしたが、このように大きなフェア会場を使って、版元が自社の出版物を展示するのがブックフェアです。文字どおり、書籍の見本市とい
2018.08.27 Mon 染谷拓郎 ぼくらがブックホテルをつくる理由はどこにある? 箱根本箱開業奔走記 現在、ぼくはブックホテルをつくるプロジェクトを担当しています。もともとは「あしかり」という日販の社員保養所だった物件を、滞在型のブックスペースに生まれ変わらせるべく、2015年から日夜奔走してきました。ホテルの名前は「箱根本箱」。念願のオープンは今年の8月1日から。この連載コラムでは「箱根本箱」ができるまでのぼくたちの歩みと戸惑いを記しながら、ブックホテルをつくることの意義や、新業態を模索している取次の内幕を、当事者の一人であるぼく個人の主観を通してお伝えしていきたいと考えています。 ●バックナンバーはこちら。 リノベーショングループに異動して最初に取り組んだプロジェクトは、日販グループのあゆみBOOKS荻窪店、高円寺店をリノベーションし、新たなブランド「文禄堂」を立ち上げるプロジェ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く