“ソゴネは、王の寝所にまで出入りを許されている唯一の男性だった。ソゴネは王の、文字通り身辺の世話をし、王の寵姫「ルームデ」がこしらえた食事を運び、給仕をする。王は人前で頭巾をとってはならず、飲食してはならないが、ソゴネだけといるときは例外だ。 かつていくさの多かったころ、野戦の陣中で、ソゴネは王の食事を用意したという。穀物の粉を水にとき、火にかけて煉るモシ族の主食「サガボ」の調理は、鍋の中で水を加えて「煮る」、女の領分に属する料理で、肉を「焙る」男の分担ではない。ソゴネの制度の由来を語るある伝承も、婦女を伴うことを忌んだ陣中で、サガボつくりなどの女の役目を少年につとめさせたことを、ソゴネのはじまりとしている。 儀礼の領域でも、先王からうけついだ妃も含めて王宮内で最古参の王妃「ポグ・キェーマ」は、儀礼の準備段階で重要な役割を演じるし、いくつかの年次大祭に王の姉妹が列席することはあるが、それ以