小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワにターゲットマーカーを発射し、H文字型の「自分の影」が落ちた画像を送信してきたのが2005年11月10日。そのときの感動をまるで昨日のことのように思い出す。天文図鑑や藤子・F・不二雄のコミック「21エモン」などであやふやな知識で空想していた小惑星帯へ、国産の探査機が送り込まれたのだ。イトカワ上空70mまで接近、という記事から、高さを日常生活で実感できる標高に見積もったり、イトカワがどのぐらいサイズなのかを想像したりして、自分の「目」が小惑星の上空にあるかのような錯覚すら覚えた。 ご存知「はやぶさ」にフォーカスをあてた書籍はすでに多く発刊されており、それぞれ多くの読者がいるが、本書ははやぶさプロジェクトに携わったエンジニアらの生の情報に触れることができる良書となっている。「はやぶさ」プロジェクトのリーダーであるJAXA川口淳一郎教授によるプロジェクト全