2016年に施行された「ヘイトスピーチ解消法」から5年。路上での過激なヘイトスピーチデモは減りつつあるが、いまだネット上では差別発言が横行している。 このたび共同通信記者として現場での取材成果をまとめた『ヘイトスピーチと対抗報道』刊行を記念し、著者の角南圭祐氏、ノンフィクションライターの木村元彦氏、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏が、現在の日本社会における差別と報道、法律、行政のあるべき形などについて語り合った。 ――角南さんが、今回の本を書こうと思ったきっかけは? 角南 私は2016年頃から本格的にヘイトスピーチの問題に関わり始めました。街頭で拡声器を使って「朝鮮人は死ね!」「日本から出ていけ!」などと口汚く罵るデモなどのヘイトスピーチが一番激しかったのは2013年頃ですが、2016年にヘイトスピーチ解消法ができてからも、デモで口汚く罵ることは前より減ったものの、インターネットなどのヘ