川口さんが制作してきたのはクラシックのアルバムだけではない。その筆頭に挙げられるのが坂本龍一のアルバム作りであり、それはクラシックのフィールドとは異なる、刺激と面白さにあふれた、新しい時代を切り開く仕事だった。今回は、名盤『エンド・オブ・エイシア』の話題が中心となる。 ―― 坂本龍一さんには『千のナイフ』というデビュー・アルバムがありますが、それに川口さんは関係されていますね。 川口: これは僕のプロデュースというわけではないですが、僕の名前がスペシャル・サンクスとして記載されています。僕はクラシックのセクションですから、会社では直接タッチ出来なかったんです。当時はまだ坂本龍一といっても知られていなくて、高橋悠治の周辺にいて、スタジオ・ミュージシャンをやっていたと思います。でも、普段はほとんどしゃべらないし、ポップスのミュージシャンとしては、ちょっと変わっていて面白いから、何かやらないかと