世の中は多くのウソとわずかの真実で成っている。未来からのシグナルはかすかで、容易につかめない。明確な根拠と確信を持って判断できることはほとんどない。 人生は霧の中を行軍するように曖昧模糊としている。それでも、できるかぎり判断の誤りを避け、最善解に至る方法を見つけなければならない。たとえ右往左往を余儀なくされても、秩序だった右往左往をすることが必要である。 われわれは、感覚的に判断し、オプション(選択肢)を考えずに行動している。それが多くの誤りと失敗の根本である。そこから脱するには、いくつかの視点が必要である。拙著『プロ弁護士の「勝つ技法」』でも触れている「情報の真偽を吟味する」やり方を紹介しよう。 「権威ある鑑定」も一意見にすぎない 私が工場用建物の買収交渉で買い主の代理で交渉したときのことだ。値段で折り合いがつかず交渉は難航していた。 すると、売り主の弁護士(30代半ば)が、80ページも