前回の続き。 ■情報=変わらないもの、システム=変わるもの 情報とそれを取り扱うシステムとの間には、果たしてどのような関係があるのだろうか。 養老孟司氏の定式化によれば、脳=記号、細胞=遺伝子という対照を考えることができる。お望みなら、ここにプログラム=データという組も加えてもいい。つまり「情報を入出力・解釈するシステム」と「そのシステムが扱う情報」のペアである。このように定義したときのシステムと情報の違いはなにか。システムは生きて動いているが、情報は固定している。細胞は生きて代謝しているから、どの瞬間をとっても二度と同じ状態をとることはない。脳を含む神経系も、常にダイナミックな再構成を繰り返しており、二度と同じ状態をとることはない。しかし、情報とは混沌をていねいに畳み込んで復元可能な秩序へと圧縮しようとする計算力学の結果であり、変わらないことこそ本質である。 もし日常的な感覚から情報が固