現実は小説より奇なり、という言葉を私は信用しない。なぜなら宇宙が好きだから、そして誰もが宇宙を愛しているから。現在は多くが観測によって検証され、妄想が現実へと変換されているが、はじめ、地球が星という球体、物体であること自体が人の妄想でしかなかった。科学がそれらを検証し、現実としたのは後付けであって、特にいまでも、果てのことは妄想で満ちている。そんな宇宙を人が愛するのならば、現実、つまり理性が、小説、つまり妄想より奇であるとは言いがたいと思うのだ。 現実とはずるい。たとえば、創作では「そんなご都合主義な展開があるか!」といわれるような奇跡も、現実では「そこまで出来た話があるのか……!」という感動に変わる。つまり小説では見られない奇が現実にある、というのは小説では「どうせ創作だろ?」と邪魔する理性が、「これは現実である」という事柄によって競り負け抹消されてしまうだけにすぎない。本来人の妄想とは