ドミトロ・M・グロジンスキー ウクライナ科学アカデミー・細胞生物学遺伝子工学研究所(ウクライナ) はじめに 1986年4月26日は,チェルノブイリ原発4号炉が爆発し全ヨーロッパに放射能汚染を引き起こした日として,歴史に残ることになろう.初めの爆発とその後の熱は,揮発性の放射性物質を上空1500mに吹き上げ,その後,これらの物質は広く拡散することとなった.厖大な放射能を含んだ雲は,風向きによって,北,東,南そして西へと流れ,数1000km離れた地にも降り積もった.チェルノブイリの破壊された原子炉から放出された放射能は,ウクライナだけではなく,ベラルーシ,ロシア,ポーランド,スウェーデン,ノルウェー,フィンランド,ドイツ,ハンガリー,スロベニア,リトアニア,ギリシャ,ブルガリア,スロバキア,さらに多くの国々を汚染した.揮発性の放射性核種と,微細なホットパーティクルが事故直後の数日間に,これらの