前回の記事では「認証基盤」「アイデンティティ管理」から、「IAMシステム」の成立に至るまでの流れを概観した。今回は、いまIAMシステムが迎えている変化を、いくつかの代表的なニーズを元に解説する。 クラウドサービス活用への対応 従業員のアカウント/アクセス管理は、エンタープライズにおけるIAM適用の基本形である。IAMを従業員の業務環境に導入することにより、企業は、日々の業務における利便性とセキュリティの両面を向上させることができる。このIAMが対象とするシステムは、従来は基本的には企業内にあった。しかし、各種クラウドサービスが一般的になるに従い、管理すべき範囲は企業外システムへも広がっている。 自社所有ではないクラウドサービスのアカウント/アクセスをIAMの傘下に収めるためには、企業内システムとは異なる点に注意が必要となる。まず、これらサービスは社外に存在するため、ドメインをまたがるシング