本屋さんで友達同士っぽい3人組が、棚に並んだ漫画について悪態をついていく、というシーンを見てしまった。最初、「そんなに仲良しではないのかな? 10年ぶりにあったとか?」なんてことを思って、それからなんだか悲しくなった。悪意に対して耐性がないわけじゃない。悪口ひどい!っていうかなしみでもない。絵柄や帯文に対して「こんなもん誰が読むんだ」「なんだこの帯文!」と、彼ら、とてもとても楽しく時間を過ごしていて、そうだよね、悪意はいつだって楽しいよね、とぼんやりと思う。悪意さえあれば、互いに踏み込むこともなく会話をトントンと進められる。彼らは本屋に一人で来ていたなら、こんな悪態はつかないし、そもそも興味もない漫画をわざわざ見ようとは思わないのかもしれなかった。友達と簡単に楽しい時間を過ごすために、漫画を一つ一つ指差して、悪意をひねり出していただけだ。最初からその人たちの中にねむっていた本質的な悪意でも