「あきらめてラクに治そうとしても、最初は『よし、頑張ってあきらめよう』と力が入ってしまい、ラクにできなかった」と、ツレさんは弱音を吐く。細川さんも、そんなツレさんのことを「もともとうまく気を抜くことができないみたいなんですよ」と続ける。 発病前のツレさんは、「落ち込むことなんてなかった」という。逆に細川さんの方が落ち込みやすかった。細川さんがグチをこぼすたび、ツレさんは「グチ言う暇があったら行動したら?」とたしなめていた。ツレさんはまた、曜日ごとにネクタイの柄や入浴剤の種類、弁当に入れるチーズの種類などを決めており、その通りに実践しないと気が済まない性分だった。 「形からでいいからダラダラしてごらん」。ツレさんは寝たきりだった治療開始3カ月たったころから、起きてこられるようになった。そんなある日、細川さんはツレさんに提案した。「お昼ごはんが終わると、『お茶の時間まで昼寝しなさい』と言われま