去年7月3日に亡くなった岡田林太郎さん(享年45)。私が岡田さんの取材を始めたのは、おととし10月下旬。末期がんを患いながらも精力的に本を作っているときでした。 岡田さんは幼いときから本が好きで、大学卒業後は歴史や文学などの専門書を扱う出版社へ就職。戦争をテーマにした本を多く手がけ、30代半ばで社長も務めました。 ところが40歳になった年、名も無き市井の人に焦点を当てた本を自由に作りたいと、社長の座をなげうって、出版社を創業します。「株式会社 みずき書林」。従業員のいない”ひとり出版社”でありながらも、精力的に本を作り続けました。 そんな岡田さんに思いもしなかった試練が待ち受けていました。2021年9月、43歳。ステージ4のスキルス胃がんの告知を受けたのです。 しばらくは仕事をしながら闘病生活を送っていましたが、翌年秋に体調を崩し入院。1か月後に退院できたものの、医師から「長くて2か月、短