秋の声を聞くとともに涼しくなってきた。涼しさが増すと、煮込み料理がおいしくなる。そしてたまたま「うまみ」について調べていたところ、ビーフシチューこそが最高の煮込み料理なのではないかという疑惑が浮上した。というのも、ビーフシチューの素材や調理法はすべてうまみに直結するものだからだ。 主なビーフシチューの素材といえば、玉ねぎ、にんじん、マッシュルーム、牛肉などが挙げられる。当然うまみたっぷりのドミグラスソースも投入されるし、ほかにもトマト、ワイン、にんにく、セロリなどさまざまな素材が加えられる。そうした素材のほとんどが「うまみ」に直結していると言っていい。 そもそもドミグラス「ソース」はうまみを凝縮したものだ。手順を追っていくと、まず小麦粉をバターで色づくまで炒める過程で、「メイラード反応」――糖とアミノ酸が反応して、さまざまな香気成分を生じる。超ざっくり言うと、肉や野菜を炒めた時の焼き目や、