○永江朗『「本が売れない」というけれど』(ポプラ新書) ポプラ社 2014.11 本と書店の今とこれからを考える1冊。まず、マクラに語られるのは、「街の本屋」がどんどん消えているという現実。著者は講演で訪れた土佐市で、中学生が歩いて行ける距離に本屋がないことを知る。その分、市立図書館はよく利用されているという。ううむ、これって、いいことなのか嘆かわしいことなのか悩む。 今や全国的に見て、日本人にとっての最大の読書インフラは、新刊書店でなく図書館である。その背景には、図書館の(よい意味での)変化や、手っ取り早い倹約の実践もあるけれど、本を「所有するもの」から「体験/消費するもの」と考える意識の変化も大きいのではないかと分析されている。 また、街の零細書店が消えていく原因のひとつに大型書店の出店があげられる。しかし著者は、多くの読者(消費者)が大型書店の出店を歓迎している事実を冷静に受け止めて