岐阜県飛騨市の飛騨みやがわ考古民俗館で4月から、管理人が常駐しない「無人開館」が本格化した。人口減で管理人の確保が難しい上に来館者も減り、一時は予約時しか開けない時期が続いていた。管理する市教委は地域の貴重な文化財の魅力を伝えるため、IoT(モノのインターネット)機器を活用し、地元企業の協力も得て開館日の大幅増を実現した。
能登半島地震では、石川県輪島市町野町の国重要文化財「上時国家(かみときくにけ)住宅」の主屋も倒壊した。近世木造民家では国内最大級とされ、日本海交易で栄えたかつての奥能登の豊かさを象徴する貴重な歴史遺産だ。近く専門家による破損状況の調査が入り、被災から3カ月を経てようやく復旧に向けて動きだそうとしている。 (小室亜希子、宮崎正嗣) 輪島市の中心部から車で1時間半。主屋は柱が折れて屋根が落ち、玄関の唐破風に豪華に飾り付けられていた瓦がいたるところに散乱。もともと2階建てだったのを想像するのが難しいほどの惨状だ。かつて美しく手入れされていたであろう庭園にも、倒れた大木が横たわっていた。建物を所有する上時国家25代当主の時国健太郎さん(73)=金沢市=は「再建するのは大変だ。どうやってやるのか見当がつかない」と困惑する。 上時国家は平清盛の義弟時忠の子孫に由来する旧家。1980~90年代に同家の古
2015年7月に開館した「みんなの森ぎふメディアコスモス」(岐阜市司町)の総合プロデューサー、吉成信夫さん(67)が今月末で退任する。メディコスの中核施設である市立図書館長として5年、総合プロデューサーとして4年。年間120万人超が利用するメディコスを9年にわたって支えてきた。22年には図書館業界で最も栄誉ある賞とされる「ライブラリーオブザイヤー」の大賞に輝くなど、名実ともに全国屈指の施設となったメディコスに懸けた日々を振り返ってもらった。前後編に分けて紹介する。 (聞き手・中川耕平) 9年の歩みを振り返る吉成さん。図書館を「言葉の蔵」だとし、「本の湯気のようなものをつかんだ人が何かを表現する。そこまでフォローするのがこの図書館のあり方」という=岐阜市司町で
人間の性愛を描いた絵画「春画(しゅんが)」を2千点以上所有する岐阜市のコレクター柴田正寛(まさひろ)さん(73)が4日、収蔵品を展示する全国でも珍しい春画専門の「岐阜浮世絵春画美術館」をオープンさせる。円山応挙(まるやまおうきょ)や喜多川歌麿(きたがわうたまろ)などが描いたとされる色鮮やかな作品がずらり。柴田さんは「春画専門の常設展示は世界初では」と話す。 直接的な性表現からタブー視されがちな春画だが、最近は美術的価値や独特のユーモラスさが見直されつつある。柴田さんがその魅力に取りつかれたのは45年ほど前。もともと骨董(こっとう)収集が趣味だったが、毛髪などの細密な描写や岩絵の具の鮮やかな発...
ジャニーズ会見で「最後まで当ててもらえなかった」鈴木エイトさん、質問をXで公開…それは「逸失利益に関して」 2023年10月2日 22時09分 「やや日刊カルト新聞」主筆として旧統一教会問題などを追及するジャーナリストの鈴木エイトさんが2日夜にX(旧ツイッター)を更新。この日行われたジャニーズ事務所の記者会見に参加したものの「前回(9月7日)とは異なり質疑応答は途中で終わり、最後まで当ててもらえなかった」と報告し、用意していた質問を投稿した。 鈴木さんが確認したかったのは「(被害者補償における)逸失利益に関すること」。「▽『絶対的支配』者だったジャニー喜多川の性加害とメリー氏による圧力はセット▽活躍の場を奪われ人生を狂わされた被害者への補償に関し疑問符▽『被害者救済委員会による審査・査定』における逸失利益の取り扱い▽慰謝料ではなく損害賠償として算出されるべき事案▽『法を超えた救済』を謳いな
日本とのつながりが深いフランス東部アルザス地方。映画「ハウルの動く城」の中で街並みが描かれた古都コルマールを拠点に日仏交流事業を展開する「アルザス欧州日本学研究所」(CEEJA)の所長で、仏政府の文化相も務めたカトリーヌ・トロットマンさんに、昨秋に見学したジブリパークの印象を振り返ってもらった。 (聞き手=パリ支局・谷悠己) 私はジブリ映画ファンで、交通機関への関心も強い。だから、あの小さな新型車両(リニモ)で高い所からの風景を楽しみながら移動し、駅を降りて大時計がある入り口の塔に到着するまでの流れは、車中からジブリの世界に引き込まれるようで素晴らしいと思う。私が世界でも最も素晴らしい交通機関の一つだと考えているネコバスのレプリカも、よくできていた。 園内では、見覚えのある光景と出会った。ジブリの大倉庫の中にある小さな映画館は、私が市長だった時に保存を決めた(アルザス地方の中心都市の)スト
自然豊かな地方の山間部を、家に置き場のない本の「ふるさと」に―。書籍を介した交流活動を支援する一般社団法人「まちライブラリー」(大阪市)が6月、小学校の旧校舎を転用した施設で、個人の蔵書を預かる事業を始める。愛書家らの交流の場をつくり、過疎地を活性化することが狙い。膨大な資料を持つ研究者らが一線を退いた後に、蔵書の散逸を防ぐ手段としても期待される。(林啓太) 法人は、東京や名古屋など全国約1000カ所で、本が好きな人々が本を持ち寄り、互いに読み合って交流する有志の活動を後押ししている。新事業の名称は「本のふるさと」。第1弾として、東京都奥多摩町の多目的施設「奥多摩フィールド」の1室に、専用の...
『小学館世界J文学館』から「白クマのフラム」。イラストを交えてあらすじや著者を紹介していて、左下のQRコードから本編を読むことができる 「世界文学全集」と聞くと、有名な作品が多数収録された数十巻のシリーズを思い浮かべる人が多いのでは。小学館が、従来のイメージを覆す全集『小学館世界J文学館』を刊行した。紙の本は1冊だけ。125作の本編はすべて電子書籍。紙の本では図鑑のように各作品を紹介しており、QRコードをスマートフォンなどで読み取ると、本編が開く仕掛けだ。企画者らは「世界の多様性を知るきっかけに」と期待を寄せる。(谷口大河) 昨年100周年を迎えた小学館の記念企画の一つで、「J」には「ジュニア」と「次世代」の意味を込めた。担当編集者の塚原伸郎さんは「昔の全集はいわば(名作をそろえる)『ゴール』だったが、われわれが作ったのは、面白いと感じる作家や作品に出会う『スタート』」と狙いを話す。 電子
小松駅前 後藤さん開設「気軽に扉開けて」 小松市土居原町で卸売業を営み歴史研究家でもある後藤朗(あきら)さん(75)が、JR小松駅前のれんが通り沿いに私設図書館「芭蕉洞(どう)文庫サロン」をオープンさせた。日本史の専門書の他に日本文学や哲学など、後藤さんの趣向で集めた約五千冊が並ぶ。モーツァルト好きが高じ、サロンのように優美な曲が流れる館内は、ユニークな空間になっている。 (久我玲) 後藤さんの自宅兼仕事場を改装した一階の館内には、三十代の初めからコツコツと買い求めた歴史関連の書籍が時代別に、宗教や美術、哲学などはジャンル別に並ぶ。訪れた人には本の貸し出しの他に販売もする。座って本を広げられる勉強スペースも設けた。 百貨店の美術部で働いていた三十代の頃、営業で出会うお客さんとの会話をきっかけに美術書を読みあさり、日本画や古美術品の知識を深めた。並行して読んでいたのが大河ドラマなどに触発され
10月に開館30周年を迎えた愛知県美術館(名古屋・栄)に、2万2000点以上にのぼる西洋美術の文献コレクションがある。中世から20世紀末にいたる作家の画集や展覧会図録、研究書、美術雑誌、オークションのカタログなど、国内では屈指の専門資料。館の調査研究や展示企画を陰から支えてきた。 一連の文献は元所有者の名にちなんで「タリカ・コレクション」と呼ばれる。フランスの美術商サミュエル・タリカとその息子が2代にわたって築いた。開館のころ、県が約3億2000万円で購入した。 特に充実しているのが、パリに世界中から芸術家が集まった19世紀後半から20世紀にかけての資料。ピカソの生前に刊行された最初の作品目録(カタログレゾネ)や、マチス自らデザインした展覧会の図録など、国内では入手の難しいものもあり、美術作品のように展覧会で公開される機会も多い。拝戸雅彦館長は「西欧の美術家にとって書物とは、作品を普及させ
お気に入りの絵本を見つけて読んでもらう子どもたち。各本棚にはオーナーの愛蔵書が並ぶ=19日、金沢市石引2のコトノハで 金沢・石引 本棚オーナー制 人柄にじむ 愛読書を置いた本棚のオーナーや地元の人々がふれ合う「まちの小さな図書館」が十九日、金沢市石引二の石引商店街にオープンした。本を通じた地域コミュニティーづくりを目指す試み。共感した富山市や東京都の人たちが早速、訪れたほか、地元の子どもたちが絵本を手に取った。(沢井秀和) 図書館の広さは二十坪で百二十箱の本棚(横三十六センチ、縦三十四センチ、奥行き四十センチ)を備える。オーナーは本棚を一カ月当たり二千二百円で借り、本やお気に入りのものを展示する。利用者は登録料五百円を支払えば、以降、棚の本を無料で借りられる。
なぜ中日ドラゴンズは勝てないのか−。多くのファンが感じている疑問に今夏、小学生のファンが自由研究で挑んだ。取り組んだ多治見市昭和小六年の高木集司(しゅうじ)君(12)に話を聴いてみると、ドラゴンズ愛が伝わってきた。 高木君は小学二年生ごろから地域の学童野球チームで野球を始めた。名古屋市出身で、チームのコーチでもある父哲男さん(45)の影響で、二年ほど前から中日ファンに。テレビ中継で試合を見たり、年数回はバンテリンドームナゴヤへ観戦に訪れたりしている。好きな選手は岡林勇希選手(20)で「どんな球もヒットにできる」とあこがれる。 自由研究に取り上げようと思ったのは「最近、中日が勝てないのはどうしてなのか気になった」からだ。夏休みの三週間ほどを使い、哲男さんの助けも借りながら、インターネットで調べた攻撃や守備のデータと、それに基づく分析をスケッチブック一冊にまとめた。 研究で高木君が気付いた中日
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く