「モノからコトへ」というのは、マーケティングでよく見かけることばで、ここ数年来多用されていますが、かなり使い古された感もあります。「商品やサービスを得て、使うこと自体に価値を見出すモノ消費から、旅行や趣味など一連の体験全体を高く評価するコト消費へと消費動向が変化してきた」みたいな使われ方をします。 前にご紹介した「デジタルミュージアムに関する研究会」を受けた研究プロジェクトの中で、廣瀬通孝先生がよくこの「モノ」と「コト」の対比を強調されていました。検索してみると、その後あちこちで言及されていますが、こちらの2011年の『情報処理』の論文あたりが、早い例かと思います。 館の性格にもよりますが、リアル・ミュージアムでは、まず展示品(モノ)をモノとして見て理解してもらうことに力を注ぎます。理解、というのは必ずしも見る人がそれを説明できる必要はないと思います。「これヤバい」でも「尊い…」でも「(語