行方不明 マフィア摘発で人気者になった王立軍・重慶市副市長だが(2011年3月、北京) Feng Li/Getty Images 地方政府の汚職捜査と犯罪組織退治で名を上げた警察トップが一転犯罪者とされ、アメリカ総領事館に亡命申請したあと行方不明に。背後には世代交代を目前にした中国政府の権力闘争が──。 冷戦時代が舞台のスパイ小説のようだが、これは21世紀の中国の話だ。王立軍(ワン・リーチュン、52)重慶市副市長の身に何が起きたのかをめぐって、中国ではネット上でさまざまな噂が駆け巡っている。 政府当局の発表は曖昧で、真相は誰にも分からない。これまで王を重用してきた簿熙来(ポー・シーライ)重慶市共産党委員会書記(62)はどうなるのか。この秋予定されている中国共産党指導部の世代交代にも何らかの影響があるのか。 王は09年3月に重慶市公安局長に赴任して以来、徹底的なマフィア取り締まりを指揮してき