5月3日の憲法記念日にあわせて発表された世論調査の結果によると、いま、憲法への関心が高まり、議論するべき課題だと感じている人が増えているという。関心は高まっているようにも見えるが、評論家の呉智英氏が、現在の憲法論議がなぜ空虚なものばかりなのかについて解説する。 * * * 3月22日、政府は閣議で鈴木貴子議員の質問主意書に答えて、共産党は暴力革命の方針を変更していないとの認識を示した。 ちょっと見直した、共産党を。私はこの半世紀ほど共産党は暴力革命を未来永劫やめてしまったものと思っていたからだ。折しも憲法記念日をはさんで憲法論議の啓発記事が保革を問わず新聞に掲載されているが、どれも意図的に本質論を隠している。 憲法は国の最高法規であり、刑法、民法など全法律は憲法に従っている。しかし、唯一例外がある。条約である。刑法や民法に憲法違反の条項があれば無効であり改正が進められるが、条約はたとえ憲法