マレーシア・トレンガヌ(Terengganu)州セティウ(Setiu)で、魚の音を聞くため海に潜るハルン・ムハマド(Harun Muhammad)さん(2014年6月8日撮影)。(c)AFP/MANAN VATSYAYANA 【9月12日 AFP】片方の手で小舟のへりをつかみ、ハルン・ムハマド(Harun Muhammad)さん(68)は海中に身を沈めた。目は大きく見開いたまま、耳を澄ませて青い水の奥から聞こえてくる魚の音を聞き取るのだ。 ハルンさんはマレーシア最後の「フィッシュ・リスナー」の1人だ。この不思議な昔ながらの方法で漁を続ける漁師は、いまやハルンさんと息子で弟子のズライニ(Zuraini)さん(44)だけとみられている。 「耳を澄ますということは、ガラスを通して物を見るようなもの。サバもイワシも見えるんだ」とハルンさんは言う。彼はマレーシア東海岸のトレンガヌ(Terenggan