イメージ/©︎Kitchakron Sonnoy・123RF 疲労回復の瞑想――軟蘇の法と甘露降浄法 心身の疲労は、新型コロナウイルスによる肺炎はもとよりウイルスや病原菌に対する抵抗力を失わせ、人を病気に罹りやすくしてしまう危険性をはらんでいる。この点は、修行に励む宗教者も変わらない。とりわけ医療事情が今ほど良くない時代には、修行の途上で重い病気に罹り、修行を中断せざるを得なくなったりときには死に至る例も少なくなかった。 そこで、「疲れたなぁ」と感じたときに、その疲労を癒すための瞑想法が、日本禅とチベット密教で創造され、ながらく伝承されてきた。日本禅の秘法は「軟蘇(なんそ)の法」といい、チベット密教の秘法は「甘露降浄法(かんろこうじょうほう)」という。 前者の「軟酥」とは、本来はバターのような乳製品のことだが、この場合は、柔らかくて温度を上げると溶けるという性質をもつものというくらいの意味