脳を動かす光のスイッチ [10/11/23] 大阪科学医療グループ・瀬川茂子 ◇神経系の病気、治療法開発に期待 光で脳の働きを操作する研究が広がっている。光を当てるだけで、特定の神経細胞を興奮させたり、抑制させたり…。光を使う技術と遺伝工学とを組み合わせて、生まれた「光遺伝学(オプトジェネティクス)」という分野の新しい技術だ。神経の働きを解き明かす道具となり、病気の治療法開発への応用も期待されている。 頭に当たっていた黄色いライトが消えると、マウスはすくっと足を伸ばし、おしりを持ち上げて、毛繕いを始める。再び、ライトがつくと、くたっと寝てしまう――。 ライトのスイッチをパチパチ変えれば、寝たり起きたり…。マウスの覚醒(かく・せい)状態は自在にコントロールできる。これは、生理学研究所(愛知県岡崎市)の山中章弘准教授らが遺伝子を組み換えて作ったマウスだ。脳には光が届く光ファイバーが固定されて