働く人にとっての「失われた30年」がようやく終わるかもしれない。そんな希望的観測が出てきたな。何の話かと言うと、最近の賃上げの動きだ。何せ30年にもわたる日本経済の大スランプのおかげで、給与水準が上がらない状況が続いてきた。それどころか、就職氷河期の発生や非正規雇用のまん延によって、日本は「人を安く使う」ことが当然とされる国に落ちぶれた。だが、それが変わるかもしれない。実はこれ、日本のIT業界の健全化に向けても良いことなんだよね。 それにしても失われた30年は本当にひどい時代だった。直接のきっかけは1991年に発生したバブル景気の崩壊だ。不動産投機などに走った多くの企業が大打撃を受け、いわゆる「バブルの紳士」たちが大勢破産した結果、日本経済は一気に失速した。それはバブった当然の報いなのだが、問題はいつまでたっても経済の大スランプから脱却できないことだった。やがて「日本の失われた10年」と呼