報道機関に公開された東京拘置所の刑場。三つのボタン(中央左)が押されると、そのどれかが作動して絞首台の踏み板(奥の囲み部分)が外れる=2010年8月、東京・小菅 死刑執行の4日前、千葉さんは2人の死刑囚への執行命令書にサインをしていた。目の前に座る死刑囚は、その命令によって間もなく命を絶たれることになる。その時の気持ちについて、千葉さんは「言葉にするのは難しいですね」と複雑な表情を浮かべた。 法相が死刑執行に立ち会うのは異例のことだった。立ち会いを決めた理由を、千葉さんはこう説明する。「死刑は究極の国家権力行使。適切に執行されているか、責任者として確認する必要があると考えました」。法務省の官僚に考えを伝えると、やや戸惑いを示したが、反対はしなかった。 2人が執行される様子は、執行室がガラス張りになっている立会人のスペースから見た。「流れるように手続きが進み、執行されました。死刑囚にも刑務官