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TGS2024
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アニメーション・ビジネスは、現在、国内外で活発にもかかわらず、それを論じる文献は驚くほど少ない。マネジメント・プロデュース、著作権、ファイナンス、海外からバランスよくと考えたが、良書は発表から年数が経ったものが多く、ここでは出来るだけ新しい文献でこれだけ読めばアニメーション・ビジネスを概観できることを趣旨に選んでみた。また、数字の裏付けが少ないとされる分野でもあり、統計資料に力点を置いた。
知覚心理学分野でアニメーションの動きについて検討した論文はかなりあるが、著書となるとごく少ない。ここでは、運動知覚の専門家でない人にとって読みやすいことを優先し、研究論文ではなく、かつ心理学書に限定することなく、アニメーション制作者の著書を含めて、アニメーションの動きに関心のある人にとってヒントとなる書籍を選んだ。選者が最近関心を強めている「不気味の谷」に関する書籍については英文書も含めた。
アニメライターと銘打ったが、要はTV・映画といったメジャー流通系アニメ(いわゆる“商業アニメ”)の歴史と制作技術を手っ取り早く押さえる11冊という趣旨である。作品個別のムック、雑誌などにも見逃せない記事は多いが、あくまで基本が理解出来る本ということでセレクトした。
私が選者だということは、「アカデミズム」とか「学術的」とかとは関係ないリストになるということである。つまりは、アニメーション史よりも「アニメ史」を知るための文献を選び、従来、学術的立場から注目されてこなかったと思われる商業系の文献に注目した。ただし選者の著書は除外し、定番と言えるような文献も、あえて外したものがある。なお、リストは文献の刊行年順である。
実写のフォトリアルな映画をアニメーションから分ける要素のひとつは線である。線とは、アイデアもしくはグラフィック的な表象として以外の実在を持たない、概念上のメタ対象である。線はフォトリアルな映画には必須ではない。ドイツのアニメーション作家ライムント・クルメが手がけたヒルトン・ホテルのためのテレビ広告5本を例として用いつつ、この論文は、アニメーション化された1本の二次元的な線に内在する逆説について問う。線はそのとき、抽象的・幾何学的構造物であり、同時に、エナジーとエントロピーのエキセントリックな視覚化でもあるのだ。クルメのアニメーションが強調するのは(たとえそれが広告キャンペーンであっても)、線が動くとき、それは決して「モノ」ではなく、差延を意図し表示するということ、そして線の幾何学が示唆する以上に常に偶然生を有し、生を生きるということである。
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