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今回は、何かと反LGBTQや反トランスジェンダーの界隈で話題に持ち上がりやすい「動物を自認する人」について整理しています。 ※この記事は私が個人用に整理していたメモを多少構成を変えて修正して公開するものです。一部内容の専門的な正確さは掲載している出典に依存します(参考文献リストは最下部に記載)。随時、内容を更新することがあります。 LGBTQは「動物を自認する人間」を生み出す!? 「ジェンダー・アイデンティティ(gender identity)」という言葉があります。日本語では「性同一性」や「性自認」と翻訳されたりもします。 ジェンダー・アイデンティティというのは、出生時に割り当てられた性別や、ジェンダー・ロールとして社会が押し付ける性別らしさは一旦に脇に置いて、「私の性別のアイデンティティはこうなのではないか?」と体感に基づいて自分で熟考し辿り着いた「性別/ジェンダー」のことです。 多く
私はまだなんとか頑張ってます…2023年も終わり。 今年も映画をいろいろ観ました。ストライキしながら鑑賞するのです。 ということで、私、シネマンドレイクが選んだ2023年の映画ベスト10を発表したいと思います。対象は私が今年観た「2023年に劇場公開された or 配信スルーで発売された or 動画配信サービスで配信された新作映画」です。 さらにドラマシリーズのベスト10も発表しています。 ついでに独自の部門別でも選びました。 私が2023年に鑑賞した新作映画の本数は配信も含めると…と、ここでいつもなら視聴作品数をざっくり書くところなのですが、私は今年夏ごろから体調を大幅に悪化させてしまいまして…。例年よりもかなり鑑賞数が少なくなってしまいました。こちらの感想サイトの更新はなんとか継続はしていたのですが…。 バービーみたいに不健康とは無縁の身体になりたい…。 今回はそんな私の2023年のベス
独りは寂しい? むしろ歓迎?12月って師走というわりには、忘年会とか、クリスマスとか、年末から正月とか、やたらと複数で集まることが多いイベントが並んでいます。何も最後の月にこんなイベントを偏らせなくていいのに…。ひとりでゆっくりすることを好む人間にはちょっとツラい時期だなと毎回思ってるんですが…。 中には「孤独は嫌だ! 自分はあの大勢に囲まれて過ごしたい!」と感情を煮えたぎらせる人もいるかもしれません。いわゆる「モノフォビア(Monophobia)」ってやつですね。独りになることに極端な恐怖や不安を感じ、孤立を避けるためにあらゆる手段を講じようとしてしまったり…。 今回紹介する映画はそんな心境に陥りやすい人にはツラい作品…になるかな? それが本作『Saltburn』です。 この原題そのままが邦題らしいです。「ソルトバーン」じゃないんですね。日本では劇場未公開で「Amazonプライムビデオ」
私的制裁は惨劇を生む2023年11月、日本でネットを騒がせていた「私人逮捕系YouTuber」が逮捕されました(朝日新聞)。 私人逮捕などと当人は主張していますが、実際にやっていることは一方的な暴行やストーキングのような行為で、注目を集めて自己中心的な私利私欲を満たすことしか考えておらず、極めて悪質です。無論、そこには公正さも倫理観も欠片もありません。 こういう「私人逮捕だ!」と図に乗る人は基本的に「自分よりも弱い相手」を選別してターゲットにします。暴力団事務所に乗り込んだりはしません。何が弱者かを理解したうえで、どうせろくに反撃もできないだろうと余裕でいられる相手を狙った意図的な攻撃です。用意周到に練られた加害行為です。 こんな事件をお騒がせニュースのネタとして消費しているだけな日本社会ですが、これは些細な話では済みません。なぜなら歴史的に私的制裁というものは差別や迫害と密接に関わる行為
対物性愛の世界「対物性愛」という言葉を知っていますか? 「オブジェクト・セクシュアリティ」や「オブジェクトフィリア」とも呼ばれたりしています。 世の中には性的指向があり、異性愛や同性愛、両性愛、無性愛(アセクシュアル)などがありますが、これらは基本的に人間を相手にする前提の概念です。こうした「対人」ではなく「対物」を前提とするのが対物性愛で、対物性愛者はモノ(object)に対して性的もしくは恋愛的に惹かれています(性愛や恋愛ではなく他の強い感情的結びつきの場合もあり、実際は当事者それぞれです)。 靴や水などに性的興奮を感じるのは従来からフェティシズムとして扱われてきましたが、対物性愛はそうしたフェティシズムとは別の立ち位置・歴史的経緯でアイデンティティ化したものと言えます。 対物性愛という言葉は1970年代に当事者によって作られた造語であり、1990年代以降にはインターネット上でのコミュ
「多様性」や「LGBT」という言葉は、日本でもすっかり知れ渡り、単語として一般化した雰囲気ですが、実際のところ、それらの言葉の意味は正しく理解されているのでしょうか? 正確に理解しないままになんとなく頭に入れてしまっている人もいれば、その不正確な認識に基づいて「反“多様性”」や「反”LGBT”」に傾く人も珍しくありません。「最近、多様性とかLGBTってよく言うけどさ~」と、今の流行りの言葉につい口をはさんでみせてマウントをとる人も見かけますが、たいていは「多様性」や「LGBT」の意味を適切に理解していません。 それでも学習の機会は乏しく、不正確な情報が拡散されやすいネットの特性も悪化の原因となり、「反“多様性”」や「反”LGBT”」にまつわる言説は増すばかりです。 そこでこの記事では「反“多様性”」や「反”LGBT”」で使われやすいレトリックを整理することにします。 ※この記事は私が個人用
1945年、戦争が終わった日本の焼き払われた街に敷島浩一は戻ってきた。戦禍によって両親を失い、帰る家もなくなり、意気消沈する中、彷徨うように生きる。そんなとき、同じく居場所のない大石典子と出会い、共に一緒の屋根の下で暮らすことになり、少しばかりの生きがいが見つかる。しかし、それは突然やってくる。敷島浩一の過去に深い爪痕を残しているあの巨大な生物が…。
それはこれからわかる…映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。 原題:Killers of the Flower Moon 製作国:アメリカ(2023年) 日本公開日:2023年10月20日 監督:マーティン・スコセッシ 人種差別描写 恋愛描写
和風「シンデレラ・ストーリー」親や家庭が子どもの人生を抑圧して縛り上げ支配する…そんなことは昔の慣習のように思えますが、今もそんな状況はあちこちにあるようです。 とくにここ最近は「親の権利(parental rights)」なるものを主張する大人が出現しています。 近年急速に湧いている「親の権利」支持者の源流にあるのは、もともとは「反ワクチン」で、たとえ子ども自身が健康のためにワクチンを打つことを望んでいようとも、反ワクチンの親がそうさせないという問題があり、その反ワクチンの親が「子どもにワクチンを打たせないのは親の権利だ!」と言い切っているわけです。コロナ禍が収束し始めるとターゲットを変え、今度はLGBTQや人種差別歴史教育に反発するようになり、「子どもにLGBTQを教えたくない! これは親の権利です!」と学校教育に介入することで、今、アメリカでは大問題になっています(Xtra Maga
ケネス・ブラナーのポアロ映画第3弾…映画『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。
あの人気レースゲームを題材に運転免許を持っている人ならわかると思いますが、自動車教習所には車の運転を体験できるシミュレーターがあり、講習の中でそれを利用する機会があります。ゲームセンターにあるような座席とハンドルがついていて、アクセルやブレーキペダルもあるので、実際の車とそっくりです。 と言っても、あくまで運転操作の基礎を覚えるためのものなので、そんなに超リアルなシミュレーションはできません。シミュレーターを利用するくらいなら普通に実物の車を運転してみるほうが手っ取り早く学べますからね。 しかし、今では自分の家でものすごいハイテクなドライビング・シミュレーター・ゲームをプレイできる時代です。 そのゲーム・ジャンルで先頭を爆走してきたタイトルと言えば「グランツーリスモ」でした。 「グランツーリスモ」は1997年に「PlayStation」で1作目が発売され、以降、大人気となってシリーズ化して
この監督は今度は何を見せてくれる?あなたにとって自分の家に侵入してほしくない最も嫌な存在は何ですか? まあ、どんな何であれ、自宅に侵入されるのは嫌ですけど…。愚問でしたね…。 家に侵入する…と言えば、やっぱり犯罪者でしょうか。とくに家に押し入る主要な犯罪が強盗。アメリカでは年間165万軒の家が強盗の被害に遭っているそうです。これは30秒に1件というものすごい発生率です。日本では2022年は1万5692件もの侵入強盗が認知されています。ただ、アメリカも日本もこれでも強盗件数は減少傾向にあります。 他に家に侵入して嫌なのは…虫とか? 虫嫌いでなくても自分の部屋に虫が平然とウロウロしていたら気になる人も少なくないはずです。なんか2023年の夏は長期間で暑かったせいか、虫の活動がそんなに活発ではなかった気もするけど…。今年はいつものクモ以外には、トンボくらいしかびっくりする侵入はなかったな…。 虫
LGBTQ(セクシュアル・マイノリティ)は映画にはどれくらい描かれてきたのか? それに関心がある人にとって、必見のレポートが毎年公開されています。「GLAAD」による「Studio Responsibility Index(SRI)」です。 しかし、英語で公表されている90ページ近い大ボリュームのレポートで、かつ日本のメディアはあまり報道しないので、映画ファンの間でも認知度は低いです。 そこで今回はこの「GLAAD」による「Studio Responsibility Index」について、2022年の概要を日本語で私なりにまとめて紹介することにします。あくまで概要なので詳細は実際の「Studio Responsibility Index」を確認してください(ネット上で公表されています)。 「GLAAD」とは?まず「GLAAD」が何なのか知らない人のために簡単に説明します。 「GLAAD」は
差別主義は何気ない会話から「差別主義」という言葉は主に「何かしらの対象を差別することに根差した立場を持つこと。もしくはその立場そのもの」を意味します。 どうしても「差別主義」と書くと妙に仰々しく見えるので、自分には全然関係ない話に思えてしまいますが、こうした差別主義は案外と身近にあります。 世の中には差別主義的な団体が無数に存在し、活動を続けています。それらの多くは特殊なものでもなく、とても平凡です。所属する人たちの多くも、会社員、個人事業主、主婦/主夫、学生など、どこにでもいるような顔触れです。まるで趣味の同好会のようなアットホームさで運営がされています。 そして差別主義的な団体に属している人たちの多くは、軽い世間話と仲間欲しさに集うことから始まります。「最近の多様性? あれってちょっと行き過ぎだよね~」「そうそう、私もそう思ってた」…そんな何気ないトーク。それは憂さ晴らしになり、なんだ
2023年、ブギーマンが映画館を訪問あなたの家には「あれ、閉めたはずなのに、開いちゃってるぞ?」というドアはありませんか? 一回ガチャリと閉めても、閉まった状態を保持せず、すぐにカチャっとドアが開いてしまう。これは心霊現象…ではなく、ドアの調整が必要なだけです。 ドアには「ラッチ」という部分があって、そこをドライバーで調整すると開き戸が完全に閉まるようになります。ドアは使っているうちにだんだんと調整が要るほどにズレてくるんですね。私の家の部屋のドアもそうなりました(ちゃんと簡単に直りました)。場合によっては丁番の調整がさらに必要になるケースもあります。一度それぞれの自分の家のドアをチェックしてみてください。 でも今回紹介する映画にでてくるドアは、ちょっと小手先の道具で修正するだけではどうにもならないレベルの話です。 それが本作『ブギーマン』。 少し誤解のないように説明しておくと、『ブギーマ
世にも奇妙すぎる「三匹の子豚」「三匹の子豚」という民間伝承の”おとぎ話”があります。日本でも有名ですね。 3匹の子ブタがそれぞれ自分の家を建てることになり、1匹は藁で、もう1匹は木枝で、もう1匹はレンガで家を建てますが、藁と木枝の家はオオカミに吹き飛ばされてしまい、レンガの家の子ブタだけが助かる…だいたいはそんな話。 イギリスの文学研究者である“ジェームズ・ハリウェル=フィリップス”が1886年頃に集めた童謡の中にこの「三匹の子豚」が登場したのが初と言われています。 初期の物語では、レンガの家を作った子ブタは最終的に煙突から入ろうとしたオオカミを待ち構えて茹でてしまい、そのオオカミを逆に食べる…というかなりショッキングなラストになっています。1933年のディズニーによるアニメーション映画『シリー・シンフォニー』の1話『三匹の子ぶた』でさらに一般に知られるようになった際は、もっとラストが温和
紫キャンディバーは進化の味…映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。 原題:Crimes of the Future 製作国:カナダ・ギリシャ(2022年) 日本公開日:2023年8月18日 監督:デヴィッド・クローネンバーグ 児童虐待描写 性描写 恋愛描写
とらんすじぇんだーとはりうっど 『トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして』あらすじトランスジェンダーが映画、ドラマ、番組など映像メディアでいかに描かれてきたのか。その歴史は映画黎明期までに遡り、その時点から大きな問題を孕んでいた。その偏見を肌で実感してきて、現在において第一線で活躍するトランスジェンダーを代表するオピニオンリーダーやクリエイターらが分析し、それぞれの思いを語る。そこから聞こえてくるのは「私はここにいる」という率直な声。 『トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして』感想(ネタバレなし) 映画を観るあなたには罪があるかもしれない映画が何かしらの理由で批判にさらされたとき、「映画に罪はない」という言い回しでその批判の空気を吹き飛ばそうとする人がいます。私はこの「映画に罪はない」という言い方が嫌いで、というのもその論調は典型的なトーン・ポリシング(論点のすり替
バービーをフェミニズムSFに1959年、アメリカの「マテル社」から、ある着せ替え人形が発売されます。 「バービー(Barbie)」です。 着せ替え人形(ファッションドール)という代物自体は16世紀から存在していたようですが、アメリカであれば“ベアトリス・アレクサンダー”が創業した人形会社がその開拓をしました。 そんな中、忽然と生み出された「バービー」。数ある人形の山に埋もれるだけだと思いきや、そのファッショナブルなスタイルと極端にスレンダーなボディ・プロポーションが当時は新鮮で、爆発的に大ヒットしていきます。 日本ではタカラトミー(旧:タカラ)製の着せ替え人形「リカちゃん」が後発で人気となったので、あまり「バービー」が席捲した印象は薄いですが、世界的にはその影響力は強烈でした。着せ替え人形と言えば「バービー」…それくらいの方程式を築き上げます。 「バービー」はオモチャの枠にとどまらず、CG
宗教アニメ…ですよね?日本人は宗教に無関心だと言われがちですが、その人の関心がどうであれ、日本社会は想像以上に宗教の影響があちこちにあります。なのにそれを「宗教」と認識することがあまりないような…。やっぱり日本人は単に宗教“音痴”みたいなものなんでしょうか。それとも宗教を暗黙のうちにタブー視しているのでしょうか。 例えば、アメリカの映画などの作品を観ていると、キリスト教の影響を感じさせるものは珍しくなく、それを指摘しながら「これは“宗教”的な作品だ」と言及する日本人は普通にいます。 でも自国の作品に対して「これは“宗教”的な作品だ」とはなかなか言っている人は見かけません。カルトとかを直接題材にでもしていない限り、“宗教”的な作品ということにならなかったり…。それってちょっと変だなと思います。日本の作品でも仏教や神道を土台にしている作品が結構たくさんあるんですけどね。 日本人はどうも宗教を他
2023年の夏、とあるインターネット・ミームがSNS(ソーシャルメディア)を席捲していきました。 それが「Barbenheimer(バーベンハイマー)」です。 インターネット・ミームが流行し、炎上していく…それはネット上で毎年365日繰り返され続けていること。しかし、この「Barbenheimer」は映画史にとっても時事的な要素をあれこれ凝縮したような特別なインターネット・ミームでした。 ということでその歴史をメモする意味でも、今回は「Barbenheimer」についてここに整理しておきたいと思います。 「Barbenheimer(バーベンハイマー)」とは?まず「Barbenheimer」とは何でしょうか。 これは2つの映画によって生まれたインターネット・ミームです。その2つの映画とは、“グレタ・ガーウィグ”監督の『バービー』と、“クリストファー・ノーラン”監督の『オッペンハイマー』。 『
“コンセプトカフェ+百合”版『高慢と偏見』「コンセプトカフェ」には普段行きますか? 人によっては聞きなれない「コンセプトカフェ」。略して「コンカフェ」とも呼ばれますが、これはその名のとおり、何かしらのコンセプト(特定のテーマ)を土台にして運営されているカフェのこと。わかりやすい事例では「メイドカフェ」や「執事カフェ」のように、店員のコスプレをともなうカフェがあり、オタク系の界隈と相性がいいです。 ただ、最近はコンセプトカフェもどんどん多様になり、従来的なオタクの枠を大きく超えたテーマのカフェも増えているそうです。企業IPを活用したコンセプトカフェもあったり、商業的にも手を出しやすいのでしょうけど、昔ながらの細々とやっている小さなコンセプトカフェはどれくらい生き残れてるんだろうか…。 今回紹介するアニメシリーズも、コンセプトカフェを舞台にした作品です。 それが本作『私の百合はお仕事です!』。
このページは「生物学的性別と性スペクトラム」についてまとめた記事の「PART2(後編)」です。「PART1(前編)」から読むのをオススメします。 「性スペクトラム」論争性スペクトラムに反対する生物学者「PART1(前編)」では、「性スペクトラム」は現在の生物学の基盤となりつつある学術的知見であることを、歴史的流れを追って整理しました。 しかし、それに公然と異を唱える生物学者もいます。 例えば、昆虫研究者の“コリン・M・ライト”(Colin M. Wright)と、発生生物学者の“エマ・N・ヒルトン”(Emma N. Hilton)。この2名は、“ヘザー・ヘイング”(Heather Heying)という進化生物学者と結びついています(Meidum)。 “ヘザー・ヘイング”は「抗寄生虫薬のイベルメクチンが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に有効である」と主張した人物のひとりです
以前、このサイトでは『「トランスジェンダリズム(性自認至上主義)」とは?【トランスジェンダーと陰謀論①】』『反トランスのレトリック解説とメディアの問題【トランスジェンダーと陰謀論②】』という2つの記事を公開し、トランスジェンダー差別について整理しました。 今回の記事では、トランスジェンダー差別とも今や密接に関わるものになっている「生物学的性別」という言葉について、その歴史から現在の科学的議論、そしてバックラッシュと政治化に至るまでを簡単にまとめています。 この記事は「生物学的性別と性スペクトラム」についてまとめたものですが、長文になってしまったので2つに分割しています。このページは「PART1(前編)」です。「PART2(後編)」はこのページの最下部にリンクを掲載しています。 ※この記事は私が個人用に整理していたメモを多少構成を変えて修正して公開するものです。専門的な正確さは掲載している出
あなたの好きなスタジオジブリ作品はありますか? 中には1作品も観たこともないという人もいるかもしれません。個人の鑑賞体験の差はあれども、スタジオジブリは日本では最も有名なアニメーション・スタジオであり、送り届けてきたアニメ映画の認知度も高いです。なのでスタジオジブリ作品はこれまで散々語られ尽くしてきたと言えます。 今回はちょっと違った視点でスタジオジブリ作品を掘っていこうと思います。 スタジオジブリと海外日本ではとても有名なスタジオジブリですが、海外ではどうでしょうか。 海外の業界では“宮崎駿”監督に象徴されるアニメーション・スタジオとして間違いなく芸術面で評価されていますが、一般庶民レベルだとまだまだマニアックな存在です。 「マリオ」「ゴジラ」「ピカチュウ」なんていうポピュラーな日本作品(キャラクター・フランチャイズ)と比べると「スタジオジブリ? なにそれ?」という反応は今の海外でも珍し
ナチスによるLGBTQ迫害の歴史日本含む世界中で、LGBTQへの反発(バックラッシュ)が急激に悪化していますが、こうした現在の反LGBTQの活動は極右、とくにネオナチと関連している事例が観察されています。 例えば、反トランスジェンダーの活動家として有名な“ケリー・ジェイ・キーン・ミンシュル”(別名:“ポージー・パーカー”)は、「Let Women Speak」と題したキャンペーンで積極的に反トランス主張を展開しています。その活動に抗議するLGBTQ当事者に対して、ネオナチのグループが現れて、「ホワイト・パワー」を唱え、ナチス式敬礼を行って煽る出来事が起きています(PinkNews)。“ケリー・ジェイ・キーン・ミンシュル”本人はネオナチとは関係ないと潔白を述べていますが、白人至上主義者のYouTuberの動画に出演したりするなど(PinkNews)、行動に説得力がありません。 また、学校でL
スウェーデンで暮らしていたエヴァマリーは、セックスワーカーであるというだけで親権を得られず、幼い子どもは虐待歴のある元夫の手に渡った。決定権を握る福祉事務所はセックスワーカーには子どもはふさわしくないと判断し、頑なにエヴァマリーに会わせようとしない。そして子どもを取り戻す闘いのさなか、残酷な悲劇が起きてしまう。「スウェーデン・モデル」の犠牲となった彼女の人生を記録に残す。 「セックスワーク・イズ・ワーク」の議論とは?「セックスワーク・イズ・ワーク(Sex work is work)」…こんなフレーズを聞いたことはありますか? 「セックスワーク」というのは「性」に関する労働のことで、つまるところ、おカネを貰って性行為をする人や、性的なパフォーマンスをする人、ポルノ業など多岐にわたります。そうした職業で働く人を「セックスワーカー」と呼びます。原則的に強制の人身売買などはセックスワークとは言いま
2022年の最注目の新人監督映像を逆再生することを「巻き戻し」と以前は呼んでいましたが、最近はこの「巻き戻し」という言葉は死語だという意見もあります。確かにデジタルの時代になったことで、技術的には何も「巻き」はないので、単に「早戻し」しているだけです。 それでも「巻き戻し」は字面としては正確ではないですが、このまま部分的に残って使われ続ける単語にもなりそうですけどね。もしかしたら違う意味で用いられ始めるかもですし…。例えば「チャンネル」は本来は周波数や放送切り替えの“つまみ”を意味していましたけど、今や動画サイトの「チャンネル」としてもっぱら多用されています。 やっぱりビデオテープや旧式ハンディビデオカメラなど昔の映像媒体のときは「巻き戻し」を使いたくなります。ビデオテープは途中再生で止めたりせず、必ず最初まで巻き戻して保存するのが劣化を防ぐためにも大切でした。もし家に映像が記録されている
空からトビが落ちてくるインドで…ドキュメンタリー映画『オール・ザット・ブリーズ』の感想です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。 原題:All That Breathes 製作国:インド・イギリス・アメリカ(2022年) 日本では劇場未公開:2023年にU-NEXTで配信 監督:ショーナック・セン
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