覚醒剤で少年院に入り、3浪の末に医師になった水野宅郎さん(48)。「誰も断らない」を貫く大阪・河内長野市の“町のお医者さん”は、20年前のある言葉を今も忘れられない。雪の中で倒れた認知症の男性を必死で救命したとき、駆けつけた娘に言われた言葉だ。「なんで救ったんですか。死んでくれたらよかったのに」。命を救うことが、誰かを苦しめることがある。その現実と向き合い続ける医師の葛藤を、ライター・ざこうじるいさんが取材した――。(後編) 「誰も断らない医師」が抱える葛藤 「なんで救ったんですか。死んでくれたらよかったのに……」 医師になって4年目の冬、必死で救命した患者の娘からそう責められた。 水野宅郎さん(48)は現在、大阪府河内長野市にある水野クリニックの院長として診療活動をしている。金沢医科大学を卒業後、富山県の金沢医科大学氷見市民病院を経て、2018年に父の診療所を引き継いだ。 コロナ禍では、