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自炊のコツ
saebou.hatenablog.com
『デューン 砂の惑星 PART2』を見た。当然第一部の続編である。 www.youtube.com 父親を殺されたポール(ティモシー・シャラメ)は砂漠の民フレメンのもとで修業して砂漠の民らしい戦い方を身につけ、ハルコンネン家と戦って次第に支持を広げるようになる。スティルガー(ハビエル・バルデム)をはじめとする一派はポールが予言された救世主だと信じるようになり、ポールの母ジェシカ(レイチェル・ファーガソン)もフレメンの教母となってその予言を人に信じさせようとする。最初は救世主扱いに抗っていたポールだったが、やがてその役目を引き受けるようになり、ポールを愛するチャニ(ゼンデイヤ)はその姿に複雑な感情を抱くようになる。 アクションとか戦闘なども含めて1作目よりもメリハリがあり、宮廷陰謀劇のところも達者な役者陣が活躍していてたるんだところがない。皇女イルーラン(フローレンス・ピュー)が帝国の噂や起
クリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』を見てきた。 www.youtube.com 物理学者で原爆開発の立役者のひとりであるJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)の伝記映画だが、全人生はカバーしていない。オッペンハイマーが若手研究者として頭角を現し始めたくらいから始まり、ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)が商務長官就任を却下されるところまでで終わる。この終わりはいったいオッペンハイマーの人生にどういう関係が…と思うかもしれないのだが、実際に見ると極めてきれいに着地している(ここも面白いのだが、あんまりネタバレすると良くないのでこのレビューでは割愛する)。 まず、序盤でけっこういやな気持ちになることを覚悟したほうがいい…というか、オッペンハイマーがロスアラモスにマンハッタン計画のための科学者村を作り、原爆の実験を成功させるまでが、まるでむちゃくちゃ
『マダム・ウェブ』を見てきた。 www.youtube.com ニューヨークで救急隊員をしているキャシー・ウェブ(ダコタ・ジョンソン)はシャイな性格で、救急隊の仲間以外とは付き合いもなく、ひっそり暮らしていた。ところが、とある事故をきっかけに急に直後の未来が見える特殊能力が発現する。たまたま列車に乗り合わせた3人の少女が殺される未来を見たキャシーは無理矢理3人を降ろして助けようとするが… 全体的に、発想はけっこう悪くないのだが、きちんとその発想を活用することが全然できていない映画である。脚本がたるいし、終盤はかなり編集がとっちらかっている。孤独な救急隊員の女性が突然予知能力を得てしまい、殺人を防ごうとする…というのはやり方によっては大変面白いサスペンスになると思うし、また途中の救急車チェイスはわりと面白いと思うのだが、そのへんが全然うまく生かされていない。最初と中盤のペルーのくだりは全く要
『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』を試写で見た。 www.youtube.com 舞台は徳島の高専である。ケガでバスケットボールを諦めた達郎(鈴鹿央士)は『ロケットリーグ』というゲームの達人で、3人でチームを作って出場するeスポーツ大会への出場を計画する。張り紙に反応した翔太(奥平大兼)と、達朗が無理矢理リクルートした亘(小倉史也)でなんとかチームを編成する。全くの初心者の翔太と、やる気ゼロの亘を従え、チームは前途多難だが… 私は基本的に自分がよく知らないスポーツなどをわかりやすく見せてくれる映画が好きなのだが(全然モータースポーツのことを知らないのだが『ラッシュ/プライドと友情』が大好きだ)、これは『ロケットリーグ』というゲームのことを全く聞いたことがなくてもよくわかるように作ってあり、その点では非常に気に入った。また、登場する高専生のうち、達郎と翔太は家庭に問題を抱え
日生劇場で『テラヤマキャバレー』を見てきた。池田亮台本、デイヴィッド・ルヴォー演出で、死の直前の寺山修司の意識をめぐるお話である。 寺山修司(香取慎吾)が死亡する直前の意識の中で、いろいろな役者たちが登場して寺山に名前をつけてもらうところから始まる。寺山の芝居『手紙』をやろうとしたところ、死(凪七瑠海)が迎えにくる。死は感動する芝居を作るという約束で少し余裕の時間を寺山にくれることになる。 役者陣の演技もいいし、ヴィジュアルとか内容はよくできているように思ったのだが(序盤はちょっとこれ大丈夫なのかと思うようなところもあったが、最後まで見ればまあまとまってる)、どうも個人的にあんまり面白いと思えないところがあった。香取慎吾がめちゃくちゃかわいいのだが、どうも寺山修司というのは2024年にかわいく飼い慣らせるような劇作家ではないような気がするのである。寺山修司というのは前衛的なのに売れ筋という
アリ・アスター監督の新作『ボーはおそれている』を試写で見た。 www.youtube.com ボー(ホアキン・フェニックス)は母モナ(パティ・ルポーン)のところに帰省するつもりだったが、寝坊した上に自宅の鍵を盗まれて飛行機に乗れなくなる。その後受け取った母が異常死したという知らせに動転したボーは、いろいろあって事故にあってしまう。大けがをしたボーは医者一家の家で目覚めるが… 全体的にこれまでのアリ・アスター映画とは大きく異なり、ジャンル映画ではない…というか、精神分析みたいないかにもアートハウスっぽい映画である。何に似ているかというと、どっちかというとホラー映画よりはフェリーニの『8 1/2』みたいな、個人的体験をシュールに再構成して換骨奪胎した作品に似ている。笑えるところはけっこうあるし、ホアキン・フェニックスの演技は良いのだが、とにかく長いし、要らないところがけっこうある映画だと思った
ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』を見てきた。アラスター・グレイの同名小説の映画化である。 www.youtube.com ロンドンに住む医者のゴッドウィン(ウィレム・デフォー)は自殺した若い妊婦の身体に胎児の脳を移植し、ベラ(エマ・ストーン)を作り出す。最初は全くの子どもだったベラは急速に成長し、ゴッドウィンの学生であるマックス(ラミー・ユセフ)と婚約するが、結婚前に弁護士のダンカン(マーク・ラファロ)と駆け落ちしてしまう。ベラはその後、波乱に満ちた暮らしをするが… 全体的にはなんちゃってヴィクトリア朝みたいな時代を舞台にしたスチームパンクダークコメディである。とにかくベラを演じるエマ・ストーンの演技がすごく、『フランケンシュタイン』的な形で男性医師に創られながら被造物としての従属することなく、人間社会の決まりにとらわれずに自由奔放に生きるベラはとても魅力的である。ランティモ
エメラルド・フェネル監督『ソルトバーン』を配信で見た。 Saltburn Barry Keoghan Amazon 舞台は2000年代半ば頃のオクスフォードである。奨学金をもらって進学してきたオリヴァー(バリー・キョーガン)は、エリートばかりの環境になかなかなじめない。ところがひょんなことからオリヴァーは上流階級の息子フェリックス(ジェイコブ・エローディ)と親しくなる。オリヴァーはフェリックスの両親が所有する巨大な屋敷であるソルトバーンに招かれ、そこで夏を過ごすことになる。 『回想のブライズヘッド』+『太陽がいっぱい』+ジョゼフ・ロージーの映画(『恋』とか『召使』)みたいな感じのお屋敷スリラーである。監督が『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネルなのでけっこうなひねりもある。ひねりについては、中盤のやつはともかく、最後のは私はむしろ前作よりすっきりしていいのではと思った。
昨日のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』ポッドキャスト版で放送した、今年の映画ベスト10です。本年は205本の映画を見ました。 『ベネデッタ』 『ロスト・キング 500年越しの運命』(パンフレットにレビューを掲載したのでブログにレビューなし) 『ゼイ・クローン・タイローン/俺たちクローン』 『ボーンズ アンド オール』 『ニモーナ』 『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』 『オマージュ』 『バーナデット ママは行方不明』 『フローラとマックス』 『ブラックベリー』 今年は映画視聴状況が劇的に変わりまして、4月から『芸術新潮』の映画評連載を始めたところ、とんでもない数の試写状が来るようになり、来る試写は基本的に全て見るようにしたので(見なかったのは3本程度のはず)、鑑賞するだけでものすごく多忙になりました。205本中、試写で見たのが78本(8割くらいはオンライン試写)、配信が37本でし
『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』を見てきた。 www.youtube.com おそらくアデレード郊外と思われるところが舞台である。17歳のミア(ソフィ・ワイルド)は母の自殺から2年たっているが、なかなか立ち直れず、父との関係もうまくいかずに親友ジェイド(アレクサンドラ・ジェンセン)の家に入り浸っている。そんな中、近所のティーンの間で、握って話しかけると霊に接触できるという手を使った降霊パーティが流行し、ミアも降霊パーティで憑依を楽しむようになる。ところがジェイドの弟でミアの弟分的な存在であるライリー(ジョー・バード)が憑依から抜け出せなくなり、自傷行為を繰り返して入院してしまう。責任を感じたミアはなんとかしようと対策を考えるが… 出てくる降霊パーティはドラッグのオーヴァードーズのメタファーと思われ、全体的には「ドラッグはやめよう」みたいな話なので、まあ教訓的なよくある話とは言え
『ハンガー・ゲーム0』を試写で見てきた。人間狩りディストピアものである『ハンガー・ゲーム』シリーズのプリークェルで、メインシリーズではドナルド・サザーランドがやっていたコリオレーナス・スノー大統領の若き日を描いた作品である。 www.youtube.com 名門スノー一家の息子で、野心はあるが貧しいコリオレーナス(トム・ブライス)は出世を目指し、アカデミーで優秀な成績を収めていた。アカデミーの優秀者が第10回ハンガー・ゲームの記念企画として出場者の教育係を務めることになる。奨学金が喉から手が出るほど欲しいコリオレーナスは、第12地区から出場することになった歌姫ルーシー・グレイ(レイチェル・ゼグラー)の教育係になり、ルーシーの人気を獲得すべく奔走する。 前半は学園もの、後半は軍隊ものでかなりトーンが違って詰め込み過ぎの感もあるとか、いくらなんでもルーシーが第12地区の田舎のドサ回りの歌手にし
北野武監督『首』を見てきた。 www.youtube.com 織田信長(加瀬亮)の家臣たちの権力闘争を軸に本能寺の変とその後の展開を描いた時代劇である。史実に忠実かどうかはあまり考えず、家臣たちの憎々しく暑苦しい人間関係や策謀を描くことに重点を置いている(このへんちょっとコーエン兄弟の『ミラーズ・クロッシング』に似ていると思った)。暴力描写も最初から最後までけっこうすごいが、笑うところはたくさんある。とくに豊臣秀吉(監督本人)、羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)のやりとりはまるでコントみたいである。 一応時代劇…なのだが、なんか一番セックスしない奴が生き残るスラッシャーホラー映画みたいな作品である。スラッシャームービー(slashじゃなくてslasherのほう。まあこの映画はslashでもあるのだが)といえばセックスにふけるティーンエイジャーが殺され、性的に純潔なファイナルガール
ニア・ダコスタ監督の新作『マーベルズ』を見てきた。 www.youtube.com キャプテン・マーベルことキャロル(ブリー・ラーソン)とモニカ(テヨナ・パリス)が宇宙空間であやしい光に接触してしまったことをきっかけに、キャロル、モニカ、ミズ・マーベルことカマラ(イマン・ヴェラーニ)が強くパワーを使うたびに入れ替わってしまうという怪現象が起きるようになる。あやしい光の経緯などを探るうち、クリー人のリーダーであるダー・ベン(ザウイ・アシュトン)がどうもカマラが持っているバングルと対になるバングルを持っていて、それで宇宙に問題が生じているらしいことがわかる。キャロル、モニカ、カマラはフューリー(サミュエル・L・ジャクソン)の支援を受けて事態解決を目指すが… 全体的にすごくADHDっぽいストーリーテリングというか、ヒロインのひとりであるカマラはADHDという設定があるはずなので、女性3人がめまぐ
デヴィッド・フィンチャー監督の新作『ザ・キラー』を配信で見た。 www.netflix.com 主人公の殺し屋(マイケル・ファスベンダー)はパリで大事な仕事に失敗してしまう。警察から逃げて急いでドミニカ共和国の自宅に帰ったところ、自宅が襲撃されてパートナーが大けがを負っていた。主人公は自宅を襲撃した者たちやその責任者を突き止めて始末すべく、アメリカ中を駆け回る。 ネオノワールっぽい雰囲気の話なのだが、内容は仕事に大失敗してその尻拭いをするだけで、わりと単純である。さらにこの主人公の殺し屋というのが曲者で、なんかすごい真面目にプロらしく振る舞ってるわりには肝心なところが抜けている。ほとんど他人と話さないのだが、ひとりでいる時はほぼずっとモノローグが続いている感じで、人前では無口なのにひとりでいる時は超おしゃべりだ。さらにその一人おしゃべりの内容の大半が仕事についての細かいこだわりとかプロ意識
ベッキー・ハトナー監督『ファッション・リイマジン』を試写で見た。ファッションブランドであるマザー・オブ・パールのデザイナーであるエイミー・パウニーのサステイナブルファッションへの取り組みを追ったドキュメンタリーである。 www.youtube.com エイミーはインフラもない田舎の農場でシンプルな暮らしをむねとする両親に育てられたそうで、そういうところでファッションに興味を持つのは特異なことだったようだ。とはいえそうした育ちからしてサステナビリティを重視するようになるのは当たり前で、だんだんデザイナーとしてのキャリアを確立したエイミーは、ファッション業界の在り方があまりにも環境に悪すぎることに心を痛め、2018年のコレクションでサステナビリティがコンセプトの服を作ることにする。 ところがサステイナブルな素材であるコットンとかウールについて、出所のはっきりした素材をまともそうな加工工場まで運
ナショナル・シアター・ライブで『ベスト・オブ・エネミーズ』を見てきた。ジェームズ・グレアム作、ジェレミー・ヘリン演出の舞台を撮ったものである。 www.youtube.com 舞台は1968年のアメリカである。大統領選前の共和党、民主党の大会にあわせて、視聴率競争で最下位のABCは新しい討論番組を計画する。そこで呼ばれたのが『ナショナル・レビュー』編集者であるウィリアム・F・バックリー(デイヴィッド・ヘアウッド)と民主党支持者であるバイセクシュアルのゴア・ヴィダル(ザカリー・クイント)である。2人は互いのことを探りつつ、毎晩舌戦を繰り広げる。 単純に見ていてものすごく面白い芝居である。主演の2人の演技が大変良く、保守的なアメリカの白人男性であるバックリーにイギリスの黒人男性であるヘアウッド、ヴィダル役にはオープンリーゲイのクイントというキャスティングも絶妙だ。ヘアウッドがバックリー役という
『ザ・フラッシュ』を見てきた。おそろしくメンタルが不調だと思われるエズラ・ミラーが起こした様々な治安紊乱行為のせいで公開が危ぶまれていた作品だが、とうとう公開である。 www.youtube.com フラッシュことバリー・アレン(エズラ・ミラー)は、自分が時間を遡ることができるのに気付く。これを利用し、バリーは幼い頃に殺された母ノラ(マリベル・ベルドゥ)を救うことにする。ところがバリーが時間に介入したせいで別の時間軸ができてしまい、バリーは別の時間軸にいるもうひとりの自分に会うことになってしまう。さらにその時間軸は滅亡の危機にあった。 まず、私はフラッシュがもともとものすごく好きで、それはたぶんフラッシュがASDだろうと思うからである(このためエズラ・ミラーがとんでもないことになってけっこう心配していた)。エズラ・ミラーのフラッシュはASD当事者に人気があるのだが、挙動がかなりASDっぽい
キティ・グリーン監督『アシスタント』を試写で見た。 www.youtube.com ジェーン(ジュリア・ガーナー)は大学を出たばかりで映画会社に就職し、オフィスでいろいろな事務や雑用をするアシスタントとして働いていた。誰よりも早く出勤し、一番遅く帰る多忙な業務だが、映画界らしい華やかなところはほとんどなく、職場の雰囲気はハラスメント気味であまり居心地は良くない。そんなある日、ジェーンはボスが他の女性に対してやっているセクハラに耐えかねて人事に報告をするが… ハラスメントだらけの職場の最低の1日を描いているという点では『サポート・ザ・ガールズ』みたいな話なのだが、ずっと陰鬱でスリラー風味の作品である。明らかにワインスティーン問題を下敷きにしている作品で、そこは『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』の類似作と言えるのだが、『アシスタント』のほうは職場の内部の、しかも実際に露骨なセクハ
シャーロット・ウェルズ監督『aftersun アフターサン』を見てきた。 www.youtube.com 1990年代末、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)が31歳になる父カラム(ポール・メスカル)とトルコで過ごした休暇を、その20年後に大人になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)が回想するという枠のある作品である。90年代の話が主だが、ソフィが撮ったビデオ映像と現在のソフィの場面が少しずつ入る。90年代の話はだいたいはソフィの記憶らしいのだが、たまにカラムだけの場面があり、これはおそらくはソフィの想像か何かだと思われる。 何しろ子どもの目を通して過去が語られるという形なので、ソフィはかなり「信頼できない語り手」で、いったいカラムがなんで憂鬱そうなのか、具体的に何が起こっているのか、といったことはよくわからない。ソフィが大人になってからああでもない、こうでもない、あれって何だったんだ
『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』日本語版を見てきた。ビリーが前田晴翔、父のジャッキーが吉田鋼太郎、ウィルキンソン先生が柚希礼音のキャスティングだった。 イギリス版の舞台は生で一度、映画館上映でも一度見たことがあり、台本も振付も音楽たいへん良くできたものだったのだが、日本語版はもとの舞台のサッチャー政権批判も全くカットせず、むしろ冒頭のニュース映像とかでもう少し日本人にもわかりやすいように提示している。それ以外の構成はほぼ同じだと思うのだが、日本版キャストは辛辣な政治諷刺にもひるまずにどんどん盛り上げていて感心した。 日本版の工夫が面白いところとしては、炭鉱の人たちが福岡県あたりの方言をしゃべっていることがある。もとの舞台では北部イングランド方言を話していたのだが、このあたりの方言にすることで筑豊炭田や三井三池炭鉱の連想が働くし、また日本の一般的な九州のイメージとして性別役割分担が
『ぼくたちの哲学教室』を見てきた。ベルファストにあるホーリークロス男子小学校の哲学教育を撮ったドキュメンタリー映画である。 www.youtube.com ホーリークロス男子小学校はベルファストのアードインにある小学校で、ワーキングクラスのカトリックの子どもたちが多く通っている。北アイルランド紛争で地域全体が疲弊したため、暴力犯罪やドラッグ、自殺が多発している。そんな中、子どもたちが暴力や犯罪にハマらないよう、ホーリークロス男子小学校では校長のケヴィン・マカリーヴィー先生を中心に哲学教育やメンタルヘルスのケアに力を入れている。 マカリーヴィー先生がかなり強烈なキャラで、哲学の先生なのだが、昔はいろいろお酒や暴力でトラブルを起こしたこともあり、そこから立ち直ったらしい。エルヴィス・プレスリーの大ファンで、スマホの着信音は常にエルヴィスだ。筋トレも欠かさないコワモテの先生でもある。マカリーヴィ
『ワイルド・スピード ファイヤーブースト』を見てきた。ワイルド・スピード10作目で、一応11作目と前編・後編みたいな位置づけになっている(このため完全に話の途中で終わる)。 www.youtube.com 10年前にドム(ヴィン・ディーゼル)が打ち負かしたブラジルの麻薬王レイエスの息子ダンテ(ジェイソン・モモア)はしつこくドムのファミリーを狙っており、ローマでファミリーを罠にかける。レティ(ミシェル・ロドリゲス)は逮捕され、他のメンバーも逃亡の身となる。ダンテはドムを単に殺すのではなく、ファミリーの面々を苦しめたり殺したりすることでドムを生き地獄に味あわせる計画だったが… とにかくワイスピなので話がめちゃくちゃなのはいつも通りなのだが、今回は制作が混乱した上、シリーズが長くなるにつれてドムがやたらにいろんな人をファミリーに引き入れて登場人物が多くなっているため、話が広がりまくっていつもに輪
U-NEXTで配信が始まったパーカー・フィン監督『スマイル』を見た。アメリカで大ヒットした低予算ホラーだが、日本では劇場公開なしで配信である。 www.youtube.com セラピストのローズ(ソシー・ベーコン)は精神科の急患病棟で働いていたが、ある日奇妙な患者の自殺を目撃してしまう。患者は自殺の直前に妙な微笑みを浮かべていた。それ以降、ローズの周りで不審がことが起こるようになり、ローズはだんだん周りから精神のバランスを失っていると見なされるようになる。 設定じたいはけっこうありがちで、超自然的な呪いが人にうつるという、日本でもアメリカでもホラーの定番と言えるような展開を使っている。近しい人が自殺すると周囲の人はひどいトラウマを受けてしまうということが根底にあるので、わりと深刻なメンタルヘルスの問題を扱った真面目なホラーだ。そこまで斬新とは言えない展開を使いつつちょっと興味深いのは、そこ
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』を見てきた。 www.youtube.com ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはノーウェアの整備を続けていたが、ロケット(ブラッドリー・クーパー)が突然襲撃され、大ケガをして倒れてしまう。ロケットの治療を試みる一行だが、ロケットを作った企業が設定したコードを入手しないと治療ができないことがわかる。どうやら作り主がロケットを狙っているらしいということは理解しつつ、一行はロケットを作ったハイ・エボリューショナリー(チュクウディ・イウジ)の会社であるオルゴコープに向かう。 現在のような形のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはこれで三部作完結ということで、これまでの話を綺麗にまとめた作品である。一方でだいぶここまでのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズとは違う新しいことをしており、けっこう大人な感じの作品にもなっている。3作の中では一
金子由里奈監督『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を見てきた。同名の原作の映画化である(かなり前だが小説も読んだことがある)。 www.youtube.com 恋愛をしたい気持ちがない七森(細田佳央太)は立命館大学(と思われる)に入学し、ぬいぐるみサークルに入る。ぬいぐるみサークルはぬいぐるみを作るサークルと名乗っていたが、実はぬいぐるみに話しかける人たちのサークルだった。七森はぬいぐるみサークルで活動しつつ、同じサークルメンバーの白城(新谷ゆづみ)と付き合ってみようとするが… アセクシュアル・アロマンティックで伝統的なジェンダーロールにも馴染めない七森を中心に、ぬいぐるみとの話を通して見えてくる傷つきやすい若者たちを描いた作品である。七森は他の人たちが恋愛をしているのを見て、自分も恋愛をしたほうがいいのでは…と思い、ぬいぐるみサークルの中ではずいぶんと社交的な白城と付き合ってみるのだが、
『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』を見た。 www.youtube.com 吟遊詩人のエドガン(クリス・パイン)と戦士のホルガ(ミシェル・ロドリゲス)は親友同士で、窃盗で投獄されていたが刑務所の仮釈放審査を利用して逃げ出すことに成功する。2人はかつての盗賊仲間で現在は出世して領主になっている詐欺師のフォージ(ヒュー・グラント)に引き取られているはずのエドガンの娘キーラ(クロエ・コールマン)を探しに行くが、父親ぶりたいフォージはキーラにデタラメを教え、エドガンとキーラを引き裂いてしまう。エドガンは昔の盗賊仲間をまた集め、新しい仲間も加えてキーラを取り戻すための作戦を練るが、実はフォージの領地では大きな陰謀が進行していた。 もとになっているゲームを知らなくても楽しめる作りで、気軽に見られるコミカルな冒険ものである。魔法の杖をめぐる展開などはちょっと強引すぎると思えるところもある
『長ぐつをはいたネコと9つの命』を見てきた。『シュレック』フランチャイズの新作で、2011年の『長ぐつをはいたネコ』の続編である。 www.youtube.com 長ぐつをはいたネコことプス(アントニオ・バンデラス)は無鉄砲な暮らしぶりがたたってネコが持つ9つの命のうち8つを失ってしまった。ドクターストップをかけられ、自分の命を狙っているらしい怪しいオオカミ(ワグネル・モウラ)にもつけ回され、不安になったプスは捨て猫を保護している家に転がり込む。そこでネコのふりをしている名前のない犬である通称「ワンコ」(ハーヴィ・ギイェン)に出会うが、ひょんなことから願いがかなうという願い星を探しに行くことになる。プスはワンコとかつての恋人キティ(サルマ・ハエック・ピノー)とともに願い星を探しに出かけるが、さまざまなライバルが願い星を狙っていた。 かわいいキャラクターが登場し、子どもも見られるアニメ映画に
昨日出演した『アフター6ジャンクション』のプレコード映画特集で言及した映画と本を一覧にしました。 〇ホラー 『魔人ドラキュラ』(Dracula, 1931) 『フランケンシュタイン』(Frankenstein, 1931) 『ミイラ再生』(The Mummy, 1932、これは言及し忘れたかも?) 『魔の家』(The Old Dark House, 1932)→元祖お屋敷ホラーのひとつ、『ロッキー・ホラー・ショー』の元ネタ、おそらく『悪魔のいけにえ』系のホラーの原型 『猟奇島』(The Most Dangerous Game, 1932、RKO) 『恐怖城』(White Zombie, 1932、ユナイテッド・アーティスツ) 『殺しの占星術』(Thirteen Women, 1932) 『獣人島』(Island of Lost Souls, 1932、パラマウント) 『透明人間』(The
スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作『フェイブルマンズ』を見てきた。監督の半自伝的な作品である。 www.youtube.com 舞台は50年代のアメリカである。ユダヤ系一家の息子である幼いサム・フェイブルマン(ガブリエル・ラベル、名前はサミーとかサミュエルとか言われているところもある)は、ピアニストである母ミッツィ(ミシェル・ウィリアムズ)とコンピュータ技術者の父バート(ポール・ダノ)に初めて映画に連れて行ってもらい、夢中になる。サムは映画撮影に夢中になるが、家族旅行を撮影した際、ミッツィと父の部下であるベニー(セス・ローゲン)との不倫を示唆する場面を撮ってしまったらしいことに気付く。バートの仕事の関係でフェイブルマン一家はカリフォルニアに引っ越すが、ベニーと離れた母は情緒不安定になり、サムは反ユダヤ主義的なクラスメイトにいじめられる。両親は離婚し、サムは映画界で働くことになる。 半自
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