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贈る言葉
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米国・サンフランシスコは、ゴールデンブリッジやチャイナタウン、ケーブルカーで日本人には馴染みのある観光地だが、最近は治安の悪化が盛んに報道されている。そこで、年末から年始にかけて現地を踏査してみた。 ダウンタウンでは、明らかに治安が悪くて足を踏み入れないほうがよいと思われる通りと、市民や観光客が普通に行きかっている通りとに分かれる。市内周辺部では、良好に管理運営されている地域もある。通りや地域によって明暗が分かれるのはなぜだろうか。 高いオフィス空床率と物価 サンフランシスコに行くと誰でも最初に訪れるのがダウンタウンにあるケーブルカーの出発点だろう。ここは今日でも世界各地からの観光客であふれ、明るく華やかな雰囲気である。 しかしその近くではデパートやフーズマーケットが閉店し、シャッターが閉められている。ちらほらと開店している店もあるが、閉店した小売店も多い。 シリコンバレー銀行の倒産はあっ
サバが不漁に喘いでいる。「漁業情報サービスセンター」の統計によると、2023年のマサバ・ゴマサバ水揚量は21万トンと、19年の41万トンからほぼ半減した(図1)。昨年まで12年連続水揚げ日本一だった銚子漁港は、その座を釧路に明け渡した。イワシとともに水揚げの主力であるサバの水揚げが昨年の3万トンから1万7千トンへの半減したことがその要因だ。 青森県八戸市に本拠を有する水産加工業者も、今年早々青森地裁に自己破産を申請している。負債額は約2億1600万円。コロナ禍による受注減とともに八戸港でのサバの水揚げ不振が引き金になったという。各地の漁業者から「サバが獲れない」との声が聞こえる。 サバ資源への楽観的な評価 これまでわが国で実施されてきたサバに対する資源評価は楽観的なものだった。水産基本法第15条は「国は、水産資源の適切な保存及び管理に資するため、水産資源に関する調査及び研究その他必要な施策
2024年1月13日、台湾で総統選挙および立法委員選挙の投開票が行われ、頼清徳・現副総統および蕭美琴・前駐米代表の正副総統候補が総統選を制し、民進党としては異例の政権3期目に突入する。他方、立法院では国民党が議席を大きく伸ばし、第一党に返り咲いた。しかし、二大政党がともに立法院の過半数を構成しない中、キャスティングボードを握ったのは、若年層の支持を得て、躍進した民衆党である。決定的な勝者も敗者もなき結果だった。 この結果は、中国にとって「最悪」ではないにせよ、「最良」でもなかった。なぜなら、中国は明らかに反頼清徳・反民進党の立場で台湾選挙に干渉したからだ。 23年末、習近平国家主席は「祖国統一は歴史の必然」と強調し、国務院台湾事務弁公室は頼候補を「頑固な台湾独立工作者」「戦争メーカー」と批判した。その姿勢は言葉だけに終わらず、野党系支持者の投票先の分散を防ぐため、有権者の約5%の票を有する
2023年の年末カニ商戦は好調でした。これはカニの輸入価格が大幅に下がったことにあります。大幅に下がった理由は、米国が2023年6月下旬からロシアのウクライナ侵攻の制裁として、ロシア産水産物の輸入禁止に踏み切ったためです。 このため、ヒートしていた国際買付け競争が落ち着き、タラバガニも含めカニの輸入価格が大きく下がったのです。しかし、現在の状況は一時的に過ぎません。 このままでは需要増加による買付け競争再開で、価格は再び上昇傾向になるでしょう。そこで、ポテンシャルはあるものの、とてももったいない国産ズワイガニの資源管理の話をしましょう。
筆者は「家計の円売り」こそ円相場、ひいては日本経済にとって最大のリスクではないかと考えてきた。昨年11月には本コラムへの寄稿『経常収支黒字でも進む円売り 資産運用立国で加速するか』でも取り扱った経緯がある。周知の通り、年初から盛り上がりを見せる円安・株高の背景として新たな少額投資非課税制度(以下、新NISA)の稼働を契機として変化する家計の運用行動があるとの論調が目立っている。 実際のところ、こうした議論は正しいのか。現在入手可能な情報から判断する限り、新NISAによる家計行動の変化は円安には直接的な影響がある一方、日本株上昇には間接的な影響があると言えそうである。以下で簡単に現状を把握してみたい。 日本株高水準の正体 先に日本株上昇について触れておくと1月18日に東京証券取引所が発表した1月第2週(9〜12日)の投資部門別株式売買動向によると、個人投資家は年末を挟んで5週連続で売り越しだ
神戸大学国際協力研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構などを経て、2017年より現職。 昨年末、2024年度予算が閣議決定した。うち水産予算は前年度補正を併せて3169億円と、過去最高だった前年の3208億円(前年度補正含む)をやや下回るものの、3100億円台を維持した。18年度まで水産予算は2300~2400億円程度であったが、同年末に国会を通過した漁業法の改正に歩調を合わせ、予算は一気に増額した。 漁業法の改正で目指されたのは、科学的な資源管理に基づく水産資源の回復と水産業の持続的な発展であると言える。これまで国が資源評価対象としていたのは計50魚種で、漁獲総枠(「漁獲可能量(Total Allowable Catch: TAC)」と呼ばれる)を決めて管理を行っていたのは8種に過ぎなかった。 水産
1964年静岡県生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程(歴史地域文化学専攻・スラブ社会文化論)修了(学術博士)。在ベラルーシ共和国日本国大使館専門調査員などを経て、2020年4月に一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所所長。2022年10月から現職。 ロシアのRIAノーヴォスチ通信は暮れに、2023年のロシア経済十大ニュースを発表した。それを整理すると、以下のとおりとなる。 1. 経済の崩壊ではなく成長が生じた 2. 記録的な失業率の低さ(それと裏表の人手不足) 3. 物価沈静化に奔走も年末には卵が高騰 4. ガソリン不足 5. 為替安定のため対策に追われる 6. 過去最大の財政歳出 7. 冶金・化学の大企業中心に超過利潤税を課税 8. 富豪YouTuberの課税逃れに対する取締強化 9. 石油輸出国機構(OPEC)+の枠組みでの石油減産続く 10. 対露制裁拡大、
サバの水揚げの最盛期であるはずの秋は過ぎて12月も終盤。しかしながら、資源があると言われているサバはほとんど見つからずで、漁獲されてもほとんどが小サバ。不漁と魚の小型化は、資源が減っている時に起きる典型的なパターンです。 筆者は、日本およびその外側の公海上のサバなどの水産資源に関心を寄せる欧州連合(EU)やロシアなどの大手漁業会社に、国際フォーラムなどで説明する機会がある数少ない日本人です。その中で、資源量が多いと言っている日本のサバの資源評価(太平洋系群)は、過大評価である可能性が高いこと、資源評価自体が米国の海洋大気局(NOAA)から著しい改善が必要と指摘を受けていることなどを科学的なデータで説明しています。 サバ資源が少なく、かつ小サバばかりの漁場に大型の外国漁船が来て魚を獲り合えば、どの国にとっても不幸となり、未来もありません。 小サバでも高値「成長乱獲」が進む仕組み 日本のサバ資
1963年生まれ。89年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち、フリーの科学ジャーナリストに。主な著書は『踊る「食の安全」 農薬から見える日本の食卓』(家の光協会)、『食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない』(日本評論社)、『効かない健康食品 危ない天然・自然』(光文社新書)など。『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(同)で科学ジャーナリスト賞受賞。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)。(記事の内容は、所属する組織の見解を示すものではなく、ジャーナリスト個人としての意見に基づきます)
1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国・南開大学に留学後、ジャーナリストとして活躍。著書に『幸福な監視国家・中国』(共著、NHK出版)など多数。千葉大学客員准教授を兼務。 電気自動車(EV)はこのまま普及するのか、それとも壁にぶち当たって失速するのか。 この数年というもの、飽きるほど聞いた論争だ。「脱炭素は世界的な潮流であり、逆転することはない」「実際に保有すればわかるが、加速性能や乗り味、あるいはOTA(オーバー・ザ・エアー、無線によるソフトウェアアップデート)などのユーザー体験は内燃車を上回っている」「実現間近の自動運転との相性の良さ」など普及派の論を聞くと、なるほどなるほどとうなずいてしまう。 一方で、「高額なバッテリーを使うEVは割高。補助金がなければ誰も買わない」「EVの製造時に莫大なエネルギーを消費するほか、充電するための電気を作るのにも温室
というのも、ロシア当局は、22年2月のウクライナ侵攻開始直後から、貿易データを一切発表しなくなった。今年に入り、3月に一瞬だけ、ごく大まかな商品分類のデータのみ発表したことがあったが、それもすぐに中止になり、ロシアの貿易動向は再び厚いベールに覆われてしまったのである。 今年6月に、ロシア税関のR.ダヴィドフ長官代行は、「われわれが近い将来に、詳しい貿易統計を発表する予定はない。わが国の敵たちがロシア経済を窒息させようとしている時に、なぜその手助けをする必要があるのか?」と開き直った。要するに、国際的な制裁包囲網による打撃や、それを回避するための抜け穴がバレないように、貿易統計を隠しているわけである。 近年は、ロシアの貿易統計も電子化が進み、われわれは税関のホームページでそれをダウンロードして使うのが通例となっていた。ウクライナ侵攻開始後は、上述の今年3月の小出しを例外として、ホームページに
東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』、『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。
イスラム組織ハマスが、イスラエルを大規模にテロ攻撃した。これに対し、インドのモディ首相は声明を出し、ハマスを非難し、イスラエルへの支援を申し出ている。 他国の紛争において、インドが中立や非同盟ではなく、明確に片方の側に立つ声明を出すことは、あまり多くない。なぜ、インドは、イスラエルを支持することを決めたのだろうか。それには、今回の攻撃がインドの国益にとって、明確な挑戦だとみているからだ。 背景にある米国の外交転換 インドにとって、安全保障上、最も懸念しているのは、中国とパキスタンからの脅威である。今回のイスラエルに対する攻撃は、この対中戦略と、対パキスタン戦略の両方と関係している。 まず、対中戦略との関係だが、今回の攻撃は、米国の対中シフトと関係しておきた可能性がある。米国は、欧州や中東、アフガニスタンなどから撤退し、インド太平洋へ、戦力を再配置しようとしている。しかし、中東には、イスラエ
八木 2作目の構想は以前からあったのです。1作目は多くの場所で上映され、私が舞台挨拶などで観客の方々から感想をうかがうと、「クジラの魅力を知りたい」「鯨食の大切さについても知りたい」という意見が多数聞かれ、次の機会にそうした要望に応えるような映画を作りたいとぼやっと考えていたのです。 私の人生は偶然が重なってそれが運命のように動き出すことが多々あるのですが、今回の「鯨のレストラン」を作る契機になったのも、2020年に世界を襲ったコロナ禍でした。以前から、鯨食の魅力と日本が蓄積してきたクジラ研究の科学データを世に出さなくてはいけないと思っていて、そんな時に、常連だった東京・神田の鯨料理店「くじらのお宿 一乃谷」を覗きに行ったら、大将の谷光男さんが元気なくって辛そうにしていました。その光景を目の当たりにして大将を励ます映画を作ろうと思い立ったのです。 ――同じクジラの映画ですが、まったく違った
2023年8月31日、水産庁は24年度予算の概算要求を発表した。デジタル庁計上分を含めると2587億円と、23年度の1919億円から大幅な増額である。水産予算は、18年度までは前年度補正を含めおよそ2300~2400億円で推移していたが、19年度には前年度補正含め約3000億円、22年度には3200億円と大幅に膨張している。 予算が19年度から一気に増額されたのは、その前年に国会を通過した漁業法の改正に伴って実施されることとなった水産改革がきっかけになっている。農林水産省の統計によると、1960年代初めには70万人近くいた漁業者は右肩下がりに減り続け、22年には12万3100人と過去最低を記録した。漁業・養殖業生産量も1984年の1280万トンをピークに、2022年はこちらも過去最低の385万8600トンまで落ち込んでいる。 要因の一つは、資源管理の失敗と「取り過ぎ」にある。政府も遅ればせ
東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用・国内のスマート農業の実証試験や農産物輸出などに携わる。 「日本の現場は進み過ぎている。追いつくのに10年以上かかる」。フィリピンのベンゲット州フェリペ副知事から驚嘆の声が挙がった。 2023年8月28日~9月1日にバングラデシュで開催された研修会「農業生産性向上のための知識移転に関するトレーニングコース」に参加したときのことである。 アジア生産性機構(APO)とバングラデシュ国立生産性機構(NPO)が主催するこの研修会には、インド、インドネシア、カンボジア、スリランカ、ネパール、タイ、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾、フィジ
彼ら都市鳥と人間との関係は時代と共に変わってきた。換言すれば、都市鳥の生態は「時代を映す鏡」とも言える。 『都会の鳥の生態学 カラス、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』(唐沢孝一、中公新書)は、そんな身近な鳥たちの、最新の、知られざる逞しい生き方を紹介する。 「唐沢さんは、都立高校の生物教師だった1982年に『都市鳥研究会』を作って代表になられた。それから40年経って、現在80歳の傘寿。今年は節目の年なんですね?」 「はい。これまでカラスやスズメ、個々の都市鳥の本を書いてきましたが、40年は一つの区切りだから、都市鳥全体の現状と生態を一冊にまとめてみたいと思ったんです」 唐沢さんが都市鳥に興味を持ったのは1960年代後半のこと。東京都へ転勤となり、都立両国高校の教師になった時である。 コンクリートに囲まれた中での子育て 高校は錦糸町(墨田区)のビル街の中にあったが、コンクリート製の建物に囲まれ
8月24日、東京電力は福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を開始した。今回は約7800トンの処理水を海水で薄めて、原発の沖合約1キロメートルの地点で放出し、作業は9月11日に終了した。 放出後、原発から3キロメートル以内の10地点で採取した海水のトリチウム濃度は通常の海水と変わりがないことが確認され、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長もまた、海洋放出が安全基準を満たしているとの見解を示した。次回の放出は9月末の予定であり、今年度中に4回に分けて約3万トンを流す計画という。 最も重要なのは風評被害対策 処理水の海洋放出には漁業者からの強い反対がある。その理由はただ一つ、風評被害だ。原発事故後、福島が経験した風評、デマ、差別の地獄のような実態と、これを引き起こしたのが利益のために「まがいものの正しさ」を撒き散らすメディア、野党、活動家であり、これに積極的に対応しようとしない行政があ
1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国・南開大学に留学後、ジャーナリストとして活躍。著書に『幸福な監視国家・中国』(共著、NHK出版)など多数。千葉大学客員准教授を兼務。 「処理水問題の影響はほとんど見当たりませんでした。探すのが大変なぐらいでしたよ」 上海市在住の日本人駐在員Aさんのぼやきだ。普段からよく筆者の記事を読んでくれている熱心な読者なのだが、大きな話題となっている福島第一原発処理水の海洋放出から約10日間となる9月3日に日本人街に出かける用事があり、「写真を撮ってきましょうか」と連絡してくれた。 「抗議活動をしている人はいるか?」「日系スーパーの客入り」「日本食材を使っていませんとの貼り紙はあるか」「(日本人街に限らず)買い占めで売り場から塩が消えていないか」あたりに着目して見てきてほしいとお願いしてきた。 Aさんが向かったのは上海市西部の虹
8月24日に開始された福島第1原発関連の処理水の海洋放出をめぐって、中国側の異常な反応が目立つ。中国側は今年1月あたりからこの件について言及を開始し、すでに更迭された秦剛前外相も、今年3月の就任記者会見で明確に言及している。以降、処理水の海洋放出については、その安全性が科学的かつ客観的に担保されているにもかかわらず、中国側は日本に対する一方的で非科学的な論難を、次第にエスカレートさせてきた。 おそらく中国側が処理水について言及をはじめた背景には、日本が米国主導の対中半導体規制に協力し、また、台湾情勢についても中国の武力介入を許さない姿勢を明確化するなかで、対日牽制のカードとして利用する意味合いがあったと推測される。しかし、これは結果として中国にとっての悪手となった。 日本にとって、対中半導体規制や台湾問題と処理水の海洋放出はまったくの別問題であり、なんらの牽制効果もなかった。すると中国外交
1979年8月21日生まれ。ビジネス誌記事の他、【fukunomo(ふくのも)】、【福島TRIP】など地域の銘酒とペアリング、食や観光を紹介する連載も手掛ける。著書に『「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か』(林智裕・著 徳間書店 2022年)。『東電福島原発事故 自己調査報告 深層証言&復興提言:2011+10』(細野豪志・著/開沼博・編 徳間書店 2021年)では取材・構成を担当した他、『福島第一原発廃炉図鑑』(開沼博・編、太田出版 2016年)ではコラムの執筆を担当。 ・(ALPS処理水の)海洋放出はせざるを得ないと思う ・処理水の安全性は科学的に示されているし、第三者機関(IAEA)にもお墨付きを得ているのに、なぜ騒ぐの? ・処理水の放出反対を言い続けている人は、何か他の代替案はあるの? ・処理水の放出反対活動をするよりも、風評を起こさないような活動をして力を貸していた
2020年大統領選の投票結果を受け入れ、米国民主主義最大の危機を救ったのは、マイク・ペンス副大統領(当時)の宗教的信念に基づく不屈の正義感と勇気ある行動だった。もし、トランプ大統領の要求通り、上院議長の立場で米議会での「バイデン当選」最終承認を先送りしていた場合、米国政治史上前例のない大混乱につながる危険があった。 トランプとペンスの不動の関係が決裂した日 16年大統領選挙を迎え、トランプ候補の副大統領候補に指名されたペンスインディアナ州知事(当時)は、共和党きっての強硬な保守イデオロギー論客として知られ、選挙期間中も、トランプ候補と二人三脚で「米国第一主義」スローガンを各州遊説先でアピールし、民主党からの政権奪回に大きく貢献した。 17年1月、トランプ政権発足後、4年間の任期を通じ、大統領への絶対忠誠を誓い、確固たる信念のもとに大統領の立場と政策弁護に奔走した。敬虔で熱心なキリスト教徒と
1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国・南開大学に留学後、ジャーナリストとして活躍。著書に『幸福な監視国家・中国』(共著、NHK出版)など多数。千葉大学客員准教授を兼務。 ChatGPTに代表される生成AIのブームが続いている。 OpenAIやグーグルなどの米企業がリードしているが、中国も負けてはいない。スタンフォード大学人間中心AI研究所(HAI)の報告書「2022 AI Index Report」によると、AI関連の論文数では中国が全体の31.04%とトップ。欧州連合(EU)・英国の19.05%、米国の13.67%を引き離している。AIの研究力や人材面では世界屈指の実力を持っていることは間違いない。 ChatGPTのローンチが昨年11月末のこと。半年あまりが過ぎた今、中国では「百模大戦」(百の大規模言語モデルの戦争)と呼ばれる混戦が続いている。中国ウ
7月14日7時半(中央ヨーロッパ時間では14日0時半)、世界保健機関(WHO)の傘下にある「国際がん研究機関(IARC)」と「WHO/国連食糧農業機関(FAO)合同食品添加物専門家会議(JECFA)」が、ノンシュガー甘味料、昔でいうところの〝人工甘味料〟である「アスパルテーム(Aspartame)」の健康影響について公表しました。 IARCは、アスパルテームを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」というグループ2Bに分類しました。JECFAは、アスパルテームの許容一日摂取量(ADI)を変更せず、40ミリグラム(mg)/キログラム( kg)体重/日のままとする、と明らかにしました。 IARCについては公式発表前の6月、ロイターがその内容をスクープ。日本語のロイター電は「人工甘味料アスパルテーム、WHO機関が初めて発がん可能性リスト掲載へ=関係者」と流しました。これを受けて、ほかのメディア
物価高騰などの影響で先送りされていた3年に1度の介護保険の見直しが7月10日に再開され、介護保険制度の持続可能性を高めるため、現役世代の社会保険料負担の限界も念頭に置きつつ、介護保険料や自己負担の引き上げなど高齢者の負担増をどうするかが議論されている。ただし、こうした高齢者の負担増は介護保険にとどまらずさまざまな分野に延焼してくだろう。 全世代型社会保障は全世代型大増税への道 これは、給付は高齢期に、負担は現役期に集中させて世界最悪水準の世代間格差を生む日本の社会保障制度を、高齢期の給付を削り現役期の負担を削減して解消するのではなく、高齢期の給付をそのままに現役期の給付を積み増す全世代型社会保障への転換によって解消を目指す政府の立場からは容易に想像できる結果である。筆者が常々「全世代型社会保障の構築は全世代型大増税とならざるを得ない」と主張する所以である。 まさにこの全世代社会保障こそが、
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