寒さが増してくる頃、私は震えながらバイクで琵琶湖湖畔のある場所に向かっていた。身を切るような寒い向かい風の中、わざわざ琵琶湖まで出かけるのは、ジャンボタニシことスクミリンゴガイという巻貝を捕獲するためだ。 ジャンボタニシは、もともとは食用として輸入、養殖されていたものだ。が、簡単に増やすことができてしかもデカイ!という家畜化されるべくして生まれてきたような特性と、養殖家たちの期待に反して、日本の食卓に普及することはついになかった。持て余されたジャンボタニシはそこらに打ち捨てられ、持ち前の繁殖力と「有機物ならなんでも食べる」とまで言われる図太さを活かして、日本中に分布を広げつつある。 「わざわざ食用に養殖までしたのに根付かなかったのだから、たいした味でないことは食べてみなくても予想がつく」 と言ってしまえばそれまでだが、高い生産性を持ちながら無視される味というのも気にならないことはない。はた