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透明になったあき
あきは読書が好きな女の子だった。 昼休みは図書室で本を読むか音楽室でピアノを弾いたり、休日は美術館... あきは読書が好きな女の子だった。 昼休みは図書室で本を読むか音楽室でピアノを弾いたり、休日は美術館に行くような女の子。友達は数えるほどしかいなかった。 大人になってもそれは変わらなかった。子供が生まれるその日までは。 休日はプールにバーベキューに遊園地にとにかくどこかへ出かけるか、誰かと遊ぶのに付き合わされた。 家族はパーティーが好きでよく家に人を呼んだ。これが一番骨が折れた。掃除、料理、後片付け等々。 休日は家やカフェなどで本でも読んでゆっくりしたい。どこかに出かけるとしたら何もない森林や池のほとりのログハウスがいい。 子供が生まれて15年間、ずっとそんなことを考えて生きてきた。 ある日のことだった。 夫に話しかけても返事がない。 おーい。おーい。 子供に話しかけても返事がない。 おーい。おーい。 そうか、私は透明になったのだ。 あきはまた読書が好きな女の子に戻った。 休日はカフェ本を読
2024/08/10 リンク