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会話術
bookends1000.hatenablog.com
ただ通り過ぎていく時間、取り返しのつかない甘い夏の夢、それをただ眺めていることしかできない無口な少年、ビールと煙草、冷たいワイン、古臭いアメリカン・ポップス、そして微かな予感――。村上春樹のすべてが詰まったデビュー作、『風の歌を聴け』を久しぶりに読んだ。学生時代に戻ったような気分で、ほぼ一晩で読み切ってしまった。 久しぶりというのもあっただろうし、村上春樹が小説家になった経緯や、小説家で「あり続けること」について語り下ろした疑似講演録『職業としての小説家』から続けて読んだというのもあっただろうが、とにかく新鮮で、目の前に果てしない草原が広がっていくような読書体験だった。 もっと自由でいいのだと思えたし、もっと自由であるべきなのだと思えた。そんな気分にさせてくれる本はそう多くはない。 Wikipediaにも載っているかもしれないが、一応、繰り返しておくと、『風の歌を聴け』は、1978年の神宮
10月23日(月) 『にがにが日記』の見本が出来上がったらしく、Twitterに写真が出回っている。本としての佇まい、めっちゃいい感じじゃないですか・・・。買うかどうか迷っていたが、それを見て購入を決意。『断片的なものの社会学』に並ぶベスト佇まいかも。 11月12日(日) なかなか本屋に行く時間が取れず、『にがにが日記』を本日ようやく購入。本当はいつも応援している本屋で買いたかったけれど、たまたま隙間時間に寄った店に一冊だけ在庫があったのでそのまま確保。写真も良かったけれど、現物はもっといい。まずもって手で持った感じがめちゃくちゃ好きだ。 で、さっそく数多の積読を押しのけて第1章まで読んでみたところ、とにかく京セラのカメラが欲しくなって、吉野家でビールを飲みたくなる本だなと。吉野家で飲んだことない。あとは人との待ち合わせで遅刻されたり、遅刻したり、今度は逆に早く来られすぎたり。「いま、自分
ほとんど奇跡のように存在し、なかば事故のように分厚いこの書物を先ほど読み終えた。読み終えた、という言い方が正しいかどうかさえ、正直よく分からない。ある意味では「聞き終えた」とも言えるし、「語り終えた」とさえ言えるかもしれない。 それどころか、150人の聞き手を公募し、約480人もの応募のなかから抽選などで絞り込みを行い、それぞれの聞き手が東京に住んでいる人、住んだことのある人などから生活史の聞き取りを行い、50000字や60000字に及ぶそれぞれの語りを文字に起こし、10000字以内に編集をかけ、それを一冊の本にまとめ上げたという途方もない舞台裏を「あとがき」を通して知ってしまうと、いや、自分はこの本を最後まで読み終えることで、本当の意味でこの本を「作り終えた」んじゃないかという気さえしてくるのだ。 そんな途方もない本にどのような評が可能なのかさっぱり分からないままこの文章をとりあえずは書
唐突な記録映像の挿入によって、それは描かれた。いや、あれは「描かれた」とすら表現し得ない暴挙かもしれない。「戦争によって失われた領土を、平和のうちに外交交渉で回復したことは、史上きわめて稀なこと」と自負してやまない政府高官らの万歳三唱。50年前、1972年5月の沖縄返還である。同じ日の那覇で、沖縄県知事が「必ずしも私どもの切なる願望が入れられたとはいえないことも事実であります」と述べたことなど、このドラマの世界における沖縄とはおよそ無関係のように思える。 別にその編集センスを意地悪く追及するだけの理由はないのかもしれない。フィクションとしてのドラマを政治的にだけ批判しても仕方がない、そう考える人もいるだろう。そもそも、ついこの間まで単なる観光客であった私にこのような批判を行う権利はないのだろうし、実際、復帰がどうなろうと自分たちの生活には関係ない、と考えていた人たちだっていたのかもしれない
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