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あまりに難しすぎて多くの人が挫折した…日本人が書いた初めての哲学書「善の研究」が生まれた「驚きの事情」(藤田正勝)
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あまりに難しすぎて多くの人が挫折した…日本人が書いた初めての哲学書「善の研究」が生まれた「驚きの事情」(藤田正勝)
日本人初で唯一無二の本 そうした問題をめぐる西田の格闘は、当時の人々にも大きな影響を与えた。この書... 日本人初で唯一無二の本 そうした問題をめぐる西田の格闘は、当時の人々にも大きな影響を与えた。この書が刊行された翌年にまだ少壮の学者であった高橋里美(のちに東北大学教授)が「意識現象の事実と其意味──西田氏著『善の研究』を読む」と題した論考を発表した。そこで高橋は「本書は恐らく明治以後に邦人のものした最初の、また唯一の哲学書であるまいかと思う。……その思想の内容に関しては、始めてこれに接して驚喜し、再三接するに従って畏敬の念に堪えない」と、この書から受けた感銘を記している。『善の研究』はそれ以後も多くの思想家が自らの思想を形成するための足場とも、道しるべともなった。この書がそのような力を発揮しえたのは、西田がそこで当時の哲学が直面していた問題と真剣に取り組み、彼独自の思想を生みだしていったからであろう。『善の研究』が長く読み継がれている理由はまずそこに求められる。 西田の思想の独自性というこ