経団連が6月、希望すれば結婚後も夫婦がそれぞれ従来の姓(名字)でいられる「選択的夫婦別姓制度」の早期導入を求める提言をまとめ、自民党が揺れている。総裁選でも大きな争点になった。自民党の「応援団」である経団連が、これまでにない強い提言を出した裏側には何があったのか。自民の保守系議員はそれにどう対峙(たいじ)したのか。 十倉雅和会長は6月10日の記者会見で、導入が進まない現状について「当事者個人の問題として片付けられない」と指摘。国内では保守派を中心に、旧姓の通称使用拡大で不便は解消されているとの見方もあるが、海外では理解されづらく、「企業にとってもビジネス上のリスクになり得る」と訴えた。「ダイバーシティー(多様性)政策の一丁目一番地」と話し、早期実現を促した。 この提言は当初、会長が発表する予定ではなかったが、経団連として重要な決定であることを表すため、急きょ十倉会長が記者会見で直接説明する