第15回 文字は文字ではいられない──英語授業でグラフィック・ノベルを教える（矢倉喬士）｜書肆侃侃房 web侃づめ｜note

今から10年ほど前。大学院に進学した僕は、将来的に英文学の授業を持つときに学生が親しみやすい教材を探しておこうと思ってグラフィック・ノベルを読み始めた。その後大学で教えるようになると、大学側からあれこれの教材を使いなさいというわずらわしい指定を受けなかった幸せな科目では、エイドリアン・トミネの『欠点（Shortcomings）』（2007年、未邦訳）、デヴィッド・マッズケリの『アステリオス・ポリプ（Asterios Polyp）』（2009年、未邦訳）、ガブリエル・バー＆ファビオ・ムーンの『デイ・トリッパー （Day Tripper）』（2011年、椎名ゆかり訳で2014年に小学館集英社プロダクションより刊行）、ノエル・スティーヴンソンの『ニモナ（Nimona）』（2015年、未邦訳）などを扱うことができた。 それから数年が経つうちに、グラフィック・ノベルが小説と同じ枠で文学賞の候補になっ