原作者・久住昌之が振り返る『孤独のグルメ』シリーズ 『ふらっとQUSUMI』誕生秘話も

ーーちなみに、音楽以外の部分でも、関わっておられるんですよね。 久住：ああ、五郎さんのセリフだけは、赤を入れさせてもらっています。すごい時間がかかります。脚本家さんには申し訳ない、と思いながら。ストーリーとかには全然赤を入れないんだけど、松重さんが頭の中で言っていることだけは、書き直させてもらっています。 ーー原作者が思う五郎像とは違うから？ 久住：いや、単純に、おもしろい方がいいから。そこしかないので。ギリシャ料理を食べて、「ギリシャの神々の横に、今、俺は立っている」とか、そういうバカなことを書いた方がおもしろいんだよね。肉を食べて「ああ、ジューシーだ」とか「やわらかい」とか、そういうのは全消しです。普通じゃないことを言っているのが、おもしろい。人の頭の中だからね。頭の中は自由だ、というのが、僕の軸なので。そこだけは一貫して、今も直し続けています。 ーー大変ですね、そこまで関わるとなると