石川県の能登半島を21日に襲った記録的豪雨では、9カ月前の地震で緩んだ地盤に大量の雨が降り注ぎ、土砂災害が相次いで発生した。これまでに判明した犠牲者13人の大半も土砂災害に巻き込まれた。豪雨から28日で1週間。地震後の被災地で土砂災害の対策工事が本格化する前に起きた水害に、復興が抱えるジレンマが垣間見える。 豪雨による土砂崩れで、赤茶色の山肌がくっきりと浮かぶ石川県輪島市町野(まちの)町。崩れ落ちた土砂は、ふもとの民家や道路を飲み込んだ。 「地震後、土砂災害の危険区域の変更などが周知されることはなかった。『ここは大丈夫なのか』と心配していた」。町野町に住む40代男性は肩を落とす。 豪雨で町野町では相次いで土砂崩れが発生。少なくとも3人が犠牲となり、一時孤立状態に陥った。元日の地震後、行政側は土砂災害を防ぐため山側に土嚢(どのう)を積むなど応急処置を施したが、本格的な修復工事に至る前に豪雨が