内田ゲンペイの趣味は、終わっていることに、道ゆく知らない女に向かって「ブス!」と叫ぶことだった。あと混み合う駅で大人しそうな女を狙ってぶつかりに行ったり、エレベーターで女とふたりきりになれば不必要に距離をつめ、怯える様を楽しんだりもした。少しでも相手が警戒する素振りを見せれば、「警戒してんじゃねぇよ! ブスが!」と罵るなどし、日頃の鬱憤を晴らしていた。嘘みたいに人間性が最悪であった。 仕事終わり、特に理由はないけどむしゃくしゃすんな〜と思った彼は、今日も適当な女に罵声を浴びせることにした。駅前のコンビニでストロングゼロを購入し、店の前で一気に飲み干す。そして自転車に乗り(※道路交通法違反)今夜のターゲットを探しに夜道に繰り出した。ぶつかり活動なら人が多い場所に限るが、声かけならば人通りのない夜道がベストだ。ひとりで歩いている女にちょっとした恐怖を与えるのは、彼にとって教育の意味合いもあった