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イエイツの『記憶術』を読む #6
第七章 カミッロの〈劇場〉とヴェネツィア・ルネサンス ちょっと間が開いてしまいましたが気を取り直し... 第七章 カミッロの〈劇場〉とヴェネツィア・ルネサンス ちょっと間が開いてしまいましたが気を取り直して参りましょう。前章はカミッロの〈記憶の劇場〉が当時(16世紀)に与えたインパクトと、その意味について追っていましたが、この章でイエイツが分析しているのは「カミッロの〈劇場〉が生まれた背景とはなんだったのでしょうね?」というところです。カミッロはそれ以前の記憶術とはまったく関係なく生まれてきた突然変異だったのか、それともそれまでの記憶術の影響をうけてそれを進化させた人だったのか。イエイツの結論からみていけば、彼女は「カミッロはそれまでの古典的記憶術と地続きである」ということです。これは前章でも触れられていることですね。カミッロの仕事の基盤には、マルシリオ・フィチーノ、ピコ・デッラ・ミランドーラという新プラトン主義者の仕事があり、そしてそこにはシモニデス流の記憶術も伝えられていた、ということです