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イエイツの『記憶術』を読む #10
第十四章 記憶術とブルーノのイタリア語対話篇 ここまでかなりのページを使ってジョルダーノ・ブルーノ... 第十四章 記憶術とブルーノのイタリア語対話篇 ここまでかなりのページを使ってジョルダーノ・ブルーノについての話を進めてきましたが、いよいよこれが最後です。イエイツはブルーノの思想と記憶術を切り離すことができない、と考えていました。記憶術が彼の思想を読み解くための重要な鍵概念になる、と。したがってイエイツは、ブルーノの記憶術に関する著作でみられた「型」は、ブルーノの著作のすべてに痕跡をのこしている、という風に主張しています。この章ではその例としてイタリア語で書かれた対話篇を見ていく。まずは1584年にイギリスで出版された『聖灰日の晩餐』について。 この作品は「ブルーノのオックスフォード訪問と、そこにおけるコペルニクス的太陽中心説についての彼のフィチーノ的もしくは魔術的な解釈を巡ってのオックスフォードの学者たちとの衝突を反映し」(P.356)、ブルーノとその友人たちはロンドンの町並みを歩きなが